宝塚歌劇団月組の人気スター暁千星(あかつき・ちせい)が18日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで、約4年半ぶり主演作「ブエノスアイレスの風-光と影の狭間を吹き抜けてゆく…-」の初日を迎えた。

12年入団。暁は今春、一人前の目安とされる「男役10年」を過ぎ、今公演をもって星組への組替えが決まっている。17年12月「Arkadia」以来の主演作は初の東上作で、すでに東京公演を終え、劇団ご当地の関西へ“凱旋(がいせん)”となった。

新人時代から華もありダイナミックなダンサーとして注目された暁も、研11(入団11年目)。スーツ、ロングコートを着こなし、深みを増した声で、歌唱力も磨き、センターに立った。

役どころは、反政府ゲリラのリーダーとして投獄されたが、特赦により釈放されたニコラス。軍事政権から民主制となった祖国で、酒場の花形ダンサー、イサベラ(天紫珠李=あまし・じゅり)のパートナーとして新たな道を歩む。

今作の作・演出は正塚晴彦氏。98年に紫吹淳で初演、08年に柚希礼音で再演され、以来の上演となった。暁は劇中でも、ダンサーとしての素質をいかんなく発揮。天紫らをパートナーに、華麗で力強くも、妖艶さを増した踊りも披露している。

東京公演を完走しての今回、大阪公演。開幕前の16、17日には舞台稽古で最終確認を終え、暁は「無事に千秋楽まで全員で駆け抜けたいと思います」とコメントしていた。

天性の明るさも武器の暁にとって、死線をくぐり抜けたゆえに肝のすわったニコラス役は、新境地を開く役柄となりそうだ。

主人公のかつての仲間、リカルドは、暁の2年後輩で若手時代から芝居巧者として定評のある風間柚乃(かざま・ゆの)が好演。そのリカルドとからむ男、マルセーロは、今年1月に雪組から異動してきた彩海せらが熱演を見せている。

シアター・ドラマシティ公演は26日まで。暁は千秋楽翌日の27日付で、トップ礼真琴が率いる星組へ異動する。