ノアの〝プロレスリングマスター〟武藤敬司(59)がさまざまな葛藤を振り切り、約4か月ぶりのリングに立つ。

 1月16日仙台大会出場を最後に「左股関節唇損傷」で欠場していたが、復帰戦となる21日の東京・大田区総合体育館大会では丸藤正道、小島聡と組み、GHCヘビー級王者・潮崎豪、清宮海斗、田中将斗組と対戦する。

 18日の会見で武藤は「一番元気がいいのは俺だというのを見せられたら」と力強く宣言した一方で、欠場中は〝進退〟について悩んだという。

「そりゃ、レスラー人生どうしようとも考えた。後輩の大谷(晋二郎)にああいうこともあったし、心が動揺したよね。自分自身に置き換えちゃう。もし何かあったら、自分だけじゃなく周りに迷惑をかけちゃうし」

 4月10日のゼロワン両国大会では大谷が「頸髄損傷」の重傷を負った。さらに番組収録で一緒になった〝革命戦士〟長州力からは「引き際だろ」と言われ、SNS上で「もういいだろ」という声も目にした。

 それでも武藤は「周りから言われると反骨精神が生まれる俺がいるんだよ。見返したいっていうのがあるからよ。それが復帰につながった原動力でもあるな」と明かす。

 もちろんリングに立つからには目標は一つしかない。「タイトルを目指すかって? そりゃそうだよ。本当はアンダー(カード)から始めたかったのも、這い上がる自信があったから。恋愛と一緒で一目ぼれして欠点ばかり見えて落ちるより、少しずつ上がった方がいいに決まってるんだから」。大会メインに決まった復帰戦の主役は誰にも譲らない。