上方落語家の桂文珍(73)が19日、大阪市内で、毎年恒例の独演会「吉例88 第40回独演会」(8月8日、大阪・なんばグランド花月)の発表会見を行った。

今年で40回目の節目。「ようやってこれた。あと何年できるやろ」と言うと、文珍はおもむろに2枚のポスターを取り出した。

30年前、25年前の独演会のものが部屋から見つかったのだという。その25年前に披露したネタの1つ、「らくだ」は今回の演題にも入れている。

「若いときはそれなりに勢いがあって、テンポも出る。それが年齢とともに間がとれるようになる。一説には息切れしてるという言い方もありますが」

笑い飛ばしながらも、70代になり老いを感じるとも。粋な言葉遊びにも才が際立つ文珍は、これを「おいるショック」と言い、「ショックを乗り越えて年齢を楽しむ。そんな落語ができたら『らくだ』」と笑いを誘った。

その「らくだ」に加えて、今年はデジタル難民を題材とした「デジナン」を披露する。

時事ネタを盛り込んだ高座でわかせる文珍。給付金を誤って振り込まれた男性について「つい甘んじてしまうのは人間っぽいけど。おもろすぎるなあ、と。フィクションの中だからできる悪はその都度入れていきたい」と話す。

これまで師匠の5代目桂文枝さんをはじめ、桂米朝さん、桂春団治さん、ケーシー高峰さんらがゲスト出演してきた「88」デー。「米朝さんに出ていただいたときは、地獄八景(亡者戯)を8時間稽古してもらいまして。(本番では)安心したのか、諦めたのか、前半を聞いて帰って行かれました」と振り返った。

今回は、1月に笑点のレギュラー入りを果たした桂宮治をゲストに迎える。「いいキャラクターで。若いときからいいなと思っていた」と、期待を寄せる人物を招く。【竹本穂乃加】