積年の課題は解決へと動くか。巨人が19日の広島戦(東京ドーム)に2―1で勝利し3連勝。2年目のホープ・中山礼都内野手(20)が同点で迎えた7回に決勝打を放ち勝利に大きく貢献した。入団以来「ポスト坂本」として大きな期待を背負う若き遊撃手。一方で、ここまで負傷により戦線離脱していた坂本も実戦復帰のめどが立ち、一軍再合流の見通しも立ってきた。実績のある坂本か、勢いのある中山か…今後の起用を巡ったうれしい悲鳴が上がり始めた。

 エース・菅野の粘投に若武者が応えた。3回に1―1の同点に追いついた後、勝ち越し点が遠い重苦しい展開。そんな中、2年目の中山が風穴をこじ開けた。7回、一死二塁のチャンスで低めのチェンジアップを中前へ。これが価値ある決勝打となり、9回途中1失点の投球を見せた大黒柱にハーラートップタイの5勝目をプレゼントした。

 若さあふれるプレーに原監督も脱帽。「ひと振りで決められるというところに非凡さというものが見えますね」と打撃センスを絶賛すれば「守備もとてもできる人。そういう意味では彼に期待したんですけど、見事に応えてくれた。九里投手から打ったというのが彼も大きな自信になるのではないのでしょうかね」と、さらなる飛躍にも期待を寄せた。

 不動の正遊撃手・坂本が右ヒザ内側側副靱帯損傷で不在の中、日に日に存在感を増している。その坂本も週明けには二軍戦で実戦復帰予定で、順調なら一軍再合流も見えてくる。精神的支柱でもある主将の復活は何よりの朗報である一方、うれしい悲鳴となっているのが、坂本復帰後の中山の起用についてだ。

 球界OBはこう語る。「中山君もようやく一軍の雰囲気に慣れ始めたところ。当初は緊張感から堅さが見えた自慢の守備も安定感が見えるようになりました。それでも、定石なら坂本復帰後は再び控えに回ることになるんでしょうが、それではここまで積み重ねてきた試合勘を損ないかねない。役割の多い遊撃のポジションでは経験からくる感覚が特に重要になってきますから」

 その言葉通り、直近の試合では広い守備範囲と正確な送球でたびたび好プレーを見せれば、打撃面でも上り調子の活躍で打率も2割5分にまで上昇。一軍のレベルに順応し始めていることは間違いない。

「安定感を優先するならば坂本の即スタメン復帰が望まれるところですが、将来性を考えればこのまま中山君を起用し続ける方が有益かもしれませんし…首脳陣にとっては悩ましい問題だと思います」(前出関係者)

 実績の坂本か、芽が出始めた中山か――。積年の課題となっていた坂本の後継者問題解決に向けて、指揮官のかじ取りが大きな注目を集めそうだ。