森保ジャパンのMF堂安律(23=PSVアイントホーフェン)による〝造反疑惑〟が波紋を呼んでいる。日本サッカー協会はブラジル戦など6月の強化試合に臨む日本代表メンバー28人を発表した。なかでも注目を集めたのが堂安。前回3月の活動で落選後には森保監督との確執も噂され、20日の会見では指揮官が異例の言及をする事態になった。いったい何があったのか、裏側を探った。

 メンバー発表会見で注目を集めたのが森保監督と堂安の〝不仲説〟だ。

 森保ジャパンで常連の堂安だが、3月に7大会連続のW杯出場決定がかかった大一番の最終予選オーストラリア戦とベトナム戦の招集メンバーから外れた。落選について堂安はメンバー発表後に自身のツイッターで「逆境大好き人間頑張りまーす! あ、怪我してません!!」(原文ママ)などと〝挑発的〟とも受け取れる文面を投稿。波紋を呼び、ベトナムメディア「THANH NIEN」が「リストから外されたことで衝撃的な反応を示した」と報じるなど、海外からも注目を集めた。

 さまざまな憶測が広がる中、この日の会見で報道陣から「堂安選手に態度の問題があって戦力外通告を出したという噂が流れた。そういうことがあったが、和解して戻したのか、あるいは全くそういうことがなかったのか」と〝造反騒動〟を追及する質問が飛び出した。

 これに森保監督は「事実ではないので、どう答えたらいいのか分からない」と堂安との確執を否定。その上で「毎回選手を選ぶ枠は決まっている。コンディションや戦い方で選手は変わる」と個人的な感情ではなく明確な基準のもとで選考していることを強調した。

 騒動はひとまず落着となったが、水面下では何があったのか。堂安に近い関係者は「その前の代表活動(1、2月)の時に『呼んでもらっても全く使ってもらえないとなるとPSVに戻った時に、また場所がなくなる』と。そのことにちょっとイライラしていた。結局それを(森保監督に)言ってしまったということ」とその裏側を明かす。

 堂安は前回呼ばれた最終予選の中国戦で後半40分から途中出場、サウジアラビア戦では出番がなかった。そうした起用法に思うところがあり、森保監督に意見をぶつけたようだ。

 ただ、同関係者が「森保さんが欧州視察に行った時に話している」と指摘するように、両者は継続的にコミュニケーションを取っている。森保監督は普段から選手との議論を歓迎しており、堂安との件も意見交換の一環とみられる。それが3月の落選理由と勝手に結び付けられて噂がネット上などで一人歩きしてしまったが、戦力外通告や確執があったというわけではなさそうだ。

 憶測を払拭する活躍でカタールW杯に向けて再アピールとなるか。