大相撲夏場所13日目(20日、東京・両国国技館)、大関御嶽海(29=出羽海)が大関正代(30=時津風)を寄り切り6勝目(7敗)。負ければカド番同士という〝崖っぷちマッチ〟に勝利したが、地元からは「大関の責任を果たせ」と猛ゲキが飛んでいる。

 御嶽海は立ち合いで低く当たると、右下手を取って左で抱える。正代に上手を許しながらも、休まず攻め込んで寄り切った。7敗同士の大関対決を制したが、取組後は報道陣の取材に応じることなく国技館を後にした。

「本当は負けたほうがカド番なんてあってはならないことなんだけど…」。取組前、御嶽海の地元長野からはこんな声が上がっていた。本来なら優勝争いが求められる立場だけに、ファンも複雑な心境だったに違いない。それでも後援会の村上智明幹事長は「勝負事の世界なので、いい時もあれば苦しい時もある。最後まで分からないが、カド番になったとしても、しっかり体調を整えて来場所頑張ってもらえたら」と、悩める大関に理解を示した。

 その一方で、大関の今後の目標設定に言及した。村上氏は「(カド番になっても)勝ち越せばいいとか、10勝で満足とかではダメ」ときっぱり。続けて「毎場所優勝を目指さないといけない。できなくても最後まで優勝争いに絡むのが大関の責任。そういう意識がないと大関の地位を守ることで頭がいっぱいになってしまう。そんな姿ではなく、常に優勝、その先の横綱を目指さないといけない」と語気を強めた。

 今場所は後援会のみならず多くの地元関係者が応援ツアーを組んで国技館に足を運んだという。長野出身では江戸時代に活躍した雷電以来227年ぶりの大関として、それだけ大きな期待を寄せられているわけだ。

 カド番を免れるには残り2日とも白星を挙げるしかない。故郷から届く愛情たっぷりのゲキを力に変えたいところだ。