南フランスで開催中のカンヌ国際映画祭で20日、ロシアの侵攻を受けるウクライナでの性犯罪に抗議するため、女性がレッドカーペットに乱入して服を脱ぎ捨て、裸になる騒ぎが起きた。騒動が起きたのはジョージ・ミラー監督がメガホンをとり、俳優イドリス・エルバと女優ティルダ・スウィントンが主演する映画「スリーサウザンド・イヤーズ・オブ・ロンギング」のお披露目の場で、ピープル誌によると女性の上半身はウクライナ国旗の色である青と黄色にペイントされ、「私たちをレイプするのはやめて」とメッセージが書かれていたという。また、下半身には血を連想する真っ赤に染まった下着も着用しており、カメラに向かってポーズをとったり、叫ぶなどし、周囲は一時騒然となったという。

ウクライナ国務省は19日、「本日、わずか1時間の間に(北東部にある)ハルキウ州で新たに奪還した村から子供8人を含む10人がロシア兵にレイプされたと報告があった。昨日は56件。その中の10歳の少年と1歳の乳児は性暴力による負傷が原因で亡くなった」とツイートしていた。

女性はその後、駆け寄った警備員に取り囲まれ、コートをかけられ、その場から連行されたという。ニューヨーク・タイムズ紙の記者がSNSに投稿した動画では、数人の警備員がカメラから叫ぶ女性を隠すようなしぐさをみせ、レッドカーペットから連れ出す様子が確認できる。この件に関して主催者からコメントは得られていないとピープル誌は伝えており、女性の身元やどのようにレッドカーペットに近づいたのかなど詳細は分かっていない。

ロシア軍に占領された地域ではロシア兵によるレイプが横行しており、被害者の中には子供や乳児も含まれていることが伝えられており、ゼレンスキー大統領も先月、乳児に対する性的暴行も含めて数百件のレイプの報告が捜査当局にあったと述べている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)