5年前に第1作が公開された時から、実写化による違和感を訴える原作コミック・ファンの声は少なくなかった。が、歌舞伎のようなデフォルメと割り切れば、豪華キャストによるメリハリの利いた躍動が理屈抜きに楽しい。原作者の荒川弘氏が19世紀のヨーロッパをイメージした独特の世界に飛び込んで、俳優陣が思いっきりかぶいている。

前作に続いて主役エドにふんするのはHey!Say!JUMP山田涼介。「撮影の半年前から体を作った」という「筋肉質」でキャラを体現。幕開けの高速列車アクションから一気に畳み掛ける。

新登場では、ブラッドレイ大総統役の舘ひろしが出色。持ち前の貫禄と特殊効果を交えたアクションの豪快さが合わさり「大きさ」を実感させる。黒島結菜の朝ドラとはひと味違う悲壮な表情も見ものだ。

ストーリーを引っ張るのは原作の人気キャラ、復讐(ふくしゅう)者スカー(新田真剣佑)。6月公開の第3作につなげて原作の最終話まで描ききるという。

「ピンポン」(02年)以来、毎回個性的なアングルで驚かす曽利文彦監督が、今回は、こうくるかというセットでも魅せてくれる。

【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)