ミュージシャンの細野晴臣(74)が21日、埼玉県・ところざわサクラタウンで期間限定上映中の自身のドキュメンタリー映画「NO SMOKING」「SAYONARA AMERICA」の舞台挨拶を行った。

 2019年に音楽活動50周年を迎えた細野。半世紀以上に及ぶ活動を記念して、六本木ヒルズ、大阪グランドフロントでに続き、ところざわサクラタウンで細野晴臣デビュー50周年記念展「細野観光1969-2021」を開催中。ドキュメンタリー映画の上映と舞台挨拶は連動企画として行われた。
 
 「SAYONARA AMERICA」は、2019年に行われたソロとして初のアメリカツアー、そして、コロナ禍に見舞われた2020年の活動を収めた作品。「NO SMOKING」は、はっぴいえんど、YMO、ソロアーティストとしての活動など、50年以上に及ぶ創作活動の軌跡を紹介している。

 舞台挨拶に先がけて行われた会見では、19年に行われたアメリカツアーを振り返り「たまたま50周年の時に良いミュージシャンが周りにいてくれたし、僕も脂が乗っていて、アメリカでツアーがやれたということですね。今だったらできないですから」とコメント。さらに「SAYONARA AMERICA」というタイトルについて「もともとは、はっぴいえんどの曲(『さよならアメリカ さよならニッポン』)がもとになってるんだけど、“20世紀よ、さよなら”という気持ちもありますね」と明かした。

 世界中にファンを持ち、多くのアーティストに影響を与えている細野。今週リリースされたハリー・スタイルズの新作「ハリーズ・ハウス」のタイトルが細野のソロアルバム「HOSONO HOUSE」から取られたことについて聞かれると、「寝耳に水に近いですけど(笑い)。マジソンスクエアガーデンでライブをやっているような、とても有名な方みたいですね」と驚いていた。

 新作の準備に取り掛かっているといい、「グローバリズムの波に乗った音はできないし、パーソナルな音楽を作るしかない。僕にとって音楽は楽しいものなので、それを取り戻したい気持ちもあります」と意気込んだ。

 舞台挨拶では、自身のドキュメンタリー映画を振り返り「ずいぶん昔のことのように思えますね。それだけ時代が変わったということでしょう」としみじみ。さらに、この先の活動について「(社会と)無関係なことをやりたいんだけど、どうしても社会に影響を受けてしまう。やってみないとわからないですね」と語った。

 ところざわサクラタウン・角川武蔵野ミュージアム5Fで開催中の「細野観光1969-2021」(6月26日まで)は、50年の軌跡を追体験できる展覧会。ロック、テクノ、ワールドミュージックなど多岐に渡る音楽家としてのキャリはもちろん、細野が使用してきた楽器や機材、影響を受けた書籍、マンガ、アート作品なども展示され、まるで“観光”するように巡ることができる展覧会となっている。

 また映画「NO SMOKING」「SAYONARA AMERICA」の上映も22日、6月4、5、11、12日、25日、26日に行われる。