争点は脱マスク? 自民党の街頭演説でマスク着用をめぐり有力議員が脱マスクに言及している。中でも小泉進次郎前環境相は学校現場の仰天エピソードを披露しながら訴えるなど前のめり。岸田政権は先週、マスク不要の基準を発表していたが、踏み込んだ対応を求める声も上がっている。

 岸田政権が発表したマスク着用の見解は、屋外で会話がないのであれば人と2メートル以上の距離を確保できない場合でもマスク不要、また屋内でも会話がなく2メートル以上離れているのならマスク不要というものだった。これに対して共同通信は世論調査を実施。政府の基準について「適切だ」が過半数。また、年齢が若い人ほど「もっと緩和するべきだ」という人の割合が多かった。

 こうした世論に政治家は敏感だ。22日、参院選候補者と街頭に立った河野太郎広報本部長は脱マスクできる状況について、「多くの人にワクチンの3回目を打ってもらい、重症化を防ぐ飲み薬が日本全国の病院に行き届いて、なるべく早く検査で陽性の人が分かるという状況が整えば、『コロナはそんなに怖い病気じゃないよね』と言えるようになると思う」と条件を語った。

 より踏み込んだのは小泉進次郎前環境相だ。日本国内にはマスク着用への同調圧力があるとした上で、「そんな時、政治が決断をすることで、賛成と反対はあるかもしれませんが、つけたい人はつける、必要ないという方は自分の判断で外す。そういう環境をつくって世の中を前に動かしていかないといけない。それも政治の仕事だと思う」と意気込んだ。

 なぜ小泉氏がこうした考えに至ったのか。演説の中で小泉氏は「コロナの中で自由を制限することが次世代にどう影響するかを見ないといけないと感じた」と若者への影響を指摘した。

 コロナによる自由の制限の例として修学旅行をめぐる珍事を披露。

「出張で羽田空港に行った時に関係者から『ようやく修学旅行が戻ってきた』と聞いた。その内容が衝撃的だった。学生が修学旅行で羽田空港に来て、飛行機に乗って離陸して、上を周回して羽田空港に戻ってきて終わり。どこにも行かないんですと」

 小泉氏は若者たちが思い出をつくれていないことを嘆き、「コロナの後に日本経済が立ち直るためには、政治が覚悟を持って強い意志で仕事をする」と、コロナによる制限の象徴であるマスク着用の緩和を訴えるのだった。

 与党の有力議員が相次いで脱マスクに言及するとは、参院選の争点にでもなるというのか。脱マスクを支持する関係者は「小泉さんの話は私のようなマスクをしたくない人にはうれしい内容ですが、マスクを外したくない人もたくさんいるといいます。新規感染者はまだ多く、特に年配の人には時期尚早と考える人は多そう」と話した。

 また、政界関係者は「大分県臼杵市議で反ワクチンノーマスクを訴えていた人物は4月の選挙で最下位となり落選しました。伝え方に問題があったかもしれませんが、マスクは票にならないかもしれません」。参院選を通じて議論は深まるのか。