ロシアのプーチン大統領(69)の健康状態悪化が噂される中、年内に療養所入りし、そのまま失脚する可能性を英秘密情報部(通称・MI6)の元長官が指摘したと米紙ニューヨーク・ポストが22日伝えた。

 同紙によると、1999~2004年までMI6長官を務めたリチャード・ディアラブ氏は自身が共同司会する政治系ポッドキャスト「ワン・デシジョン」で、ウクライナ侵攻が計画通りに進まず、ロシア軍が予想外の苦戦を強いられていることへの責任を問われるプーチン氏に用意された退陣策として、療養所に入院することが考えられると述べた。

 同氏は、もしプーチン氏が医療施設に入院すれば、「クーデターよりは〝上品な〟退陣になるだろう」と強調した。

「かなり冒険した見方をすると、(プーチン氏は)23年までに失脚する」とし、「おそらく入院した後は、ロシアの指導者として再び姿を現すことはない」と予測。ディアラブ氏は、クレムリンではポスト・プーチン計画は存在しないとしながらも、ロシア連邦安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記(70)が支配権を握るだろうとした。

「もし私の推測通りでプーチンが入院すれば、(パトルシェフ氏が)大統領代理を務めるだろう」とし、「このシナリオでは当然、代理は永久を意味する。ロシアの指導体制に継承制度はないし、継承計画もないからだ」と解説した。

 プーチン氏は先週、テーブルに寄りかかっているような姿が目撃されたが、これは数日前に腹水を抜く手術を受けたことによるものだとされる。クレムリンに近いオリガルヒ(新興財閥)の情報筋は、プーチン氏が「血液のがんにより健康状態は深刻」だと米誌「ニュー・ライン」に明かした。ただ、公式には確認されていない。

 2015~17年まで数回にわたりプーチン氏をインタビューした米映画監督のオリバー・ストーン氏は最近、米人工知能研究者レックス・フリードマンが司会するポッドキャストに出演し、「プーチン氏はがんに闘病して打ち勝ったと思う」と述べている。