2020年5月に急死した木村花さんのメモリアルマッチ「バグース!」が23日に東京・後楽園ホールで開催され、ジャングル叫女(31)が約1年半ぶりのリング復帰を果たした。

 花さんと公私ともに親交が深かった叫女は、20年10月から左ヒザなどの負傷により長期欠場していた。この日の大会ではエキシビションマッチに出場。対戦相手は叫女の指名選手と発表されていた。

 リングに上がった叫女が指名したのは、何と5年前に現役を引退した花さんの母親・木村響子さんだった。当初は固辞していた響子さんも「花の代わりに叫女の思いを受けとめないといけないよね」と受諾し、試合が開始された。

 大会アンバサダーの石野結(花月)の介入もあって1対2の戦いも強いられた叫女だったが、終盤には響子さんと魂のエルボー合戦を展開。花さんの得意技だったビッグブーツを放つ響子さんに、渾身のエルボーを打ち込んでいく。最後は串刺しラリアートからラリアートを叩き込んで、3カウントを奪った。

 試合後のリング上では響子さんと天を指さして抱擁をかわした。叫女は「長い道のりでした。ここでやっと言わせてください。皆さん、ただいま!」とあいさつ。「花をみとった2年前の今日、最後にかけ続けた言葉は『生きろ』。生きろってずっと声をかけ続けてました。生きてると本当につらいこと、苦しいこと、痛いこといっぱいあります。でも、今日改めて思った。それが生きてるってことなんだなと。このリングに戻ってきて、花に胸を張って言えます。私は生きてるって」と天国の盟友への思いを明かし、対戦相手を務めた響子さんにも感謝を述べた。

 左ヒザは昨年11月に再手術したばかりで、ぶっつけ本番に近かった。響子さんを指名した理由について「花の声が聞こえたんですよ。『木村響子と戦って』って」と明かした叫女は「魂をぶつけ合えたって言うのが本当にうれしくて。止まっていた時計の針がやっと動き出した。そんな気がしました」と感慨深げな表情を浮かべていた。