母になっても下ネタは封印しません! 第1子出産、初の長編小説「特等席とトマトと満月と」(幻冬舎)を出版と幸せ続きのお笑い芸人、紺野ぶるま(35)がこのたび本紙の単独インタビューに応じた。「〝大人のなぞかけ〟を始めたときが一番苦しかった」と打ち明けた意外な理由とは――。

 ――ご出産おめでとうございます。やっぱり育児は大変ですか

 紺野ぶるま(以下ぶるま) ありがとうございます! 夜中にぐずり出して泣くと起きなきゃいけないし、自然と起きるようになりました。旦那さんもめちゃくちゃ(育児に)協力してくれるので、時々私は寝たフリしますけど(笑い)。

 ――母親になって変わったこと

 ぶるま 産む前はママタレの言っていることがホント理解できなくて、〝赤ちゃん=ちっちゃい怪獣〟の意味がわからなかったんです。でも、産んだら、なるほどこういうことか…って苦労が身に染みてわかりました。ただやっぱり喜びのほうが全然大きくて、こんな私のおっぱいを一生懸命吸っているんだという生命力に感動しましたね。

 ――どんな子に育てたい

 ぶるま ユーモアのある人に育ってほしくて、お笑いの劇場にいっぱい連れていきたいなって思ってます。やっぱり芸人がたくさんいる世界、たとえば楽屋なんて誰かが不幸話を打ち明けても誰かが絶対面白くしてポジティブになれて、そういう明るさを持って生きてほしい。

 ――芸人としてのエリート教育を施す?

 ぶるま いや、逆に公務員とかフツーの人になってほしいという気持ちもあるんです(笑い)。私自身が高校中退だし、勉強なんて早ければ早いほうがいいんじゃないかと思って、ある英語教材に問い合わせしてみたんですよ。

 ――なんか高そうですね

 ぶるま そう、100万円以上するみたい! この間、営業電話をかけてきた女性が「今が一番いい時期です。〝英語のシャワー〟を浴びさせないと…」って言うんです。で、ウチの子がたまたま発した「アウー」って声が受話器越しに聞こえたらしく「その『アウー』が『マミー』になるんです」と言われて『そんなわけあるかい!』ってツッコミそうになりました(笑い)」

 ――でも子供にはあらゆる可能性が眠っていますから

 ぶるま それそれ! その言葉に踊らされるのが親なんだなって実感してます(笑い)。で、多分〝英語のシャワー〟を売る人は相手が何歳でも「今が一番いい時期です」って言ってると思うんですよね! 親の不安をつつけば商売になる(笑い)。

 ――そうしたママ経験がお笑いのネタとなり、小説のネタになるかもしれません。ところで小説の中に食べ物の描写が多いのはなぜ

 ぶるま 食えるか食えないかが芸人にとってすごく大きいからだと思います。私自身で言うと27歳ごろが瀬戸際でしたね。なぞかけで仕事がもらえるようになって、ようやくバイトをしなくても生きられるかも…となったけど、正直バイトしてるほうが楽なんです。バイトに費やした時間がお金になることは確定してるけど、お笑いに費やした時間がいつ、何になるかわからない。運の要素もある。芸だけで食べていくのはどういうことかって向かい合った時期でしたね。

 ――食欲、性欲、睡眠欲という三大欲求に加えて、「面白いと思われたい欲」が加わっているのがお笑い芸人?

 ぶるま はい。賞レースに出てるときも、1000万円の賞金が欲しいと思ったことなんて一度もなくて、芸人は何より〝面白い人〟としての称号が欲しいんだと思います。

 ――本も3冊出して、子宝に恵まれて幸せ絶頂に見えるが

 ぶるま もっと認められたいですね。私、下ネタをやめるつもりは一切ないです! 子供が生まれたからこそ中途半端なことをしちゃいけないと思っていて、下ネタを大切にして洗練されたものにしていきたいです。気づいたら私も芸歴12年目。最近、松竹(芸能)の1年目の子と話す機会があったんですが、後輩というより「孫」みたいな感じで、改めてちゃんとした芸人にならなきゃなって思いました。

 ――「美人芸人」とか「ママ芸人」といった修飾語はいらないと。

 ぶるま そうですね。「芸人・紺野ぶるま」で勝負できるように本当に面白いことを追求していきたいなと思います。子供が寝てるときとか隙間時間を駆使して笑いも次の小説も考えたいです。

 ☆こんの・ぶるま 1986年9月30日、東京都出身。21歳のときに松竹芸能の東京養成所に入りお笑い芸人の道へ。〝大人のなぞかけ〟を得意とする。著書に「下ネタ論」「中退女子の生き方~腐った蜜柑が芸人になった話~」。先月27日に初の長編小説「特等席とトマトと満月と」(幻冬舎)を出版。ツイッターは【@burumakonno0930】