米国・AEWの「AEW DYNAMITE」が25日(日本時間26日)に行われ、新日本プロレスの偉大なる支配者グレート―O―カーンが電撃登場し全米を席巻した。

 この日の放送では現ROH世界タッグ王者の「FTR」ことダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー組がロッキー・ロメロ、トレント・バレッタの「ロッポンギバイス」との王座戦に臨んだ。一進一退の攻防を見守っていた観客の前に、真の驚嘆と興奮、歓喜と感動を与える2人の男が現れた。「ユナイテッドエンパイア」のオーカーンとジェフ・コブだ。

 オーカーンとコブは4人をまとめて蹴散らし試合を完全に破壊する。雄々しき咆哮とともにロッキーに繰り出したモンゴリアンチョップの美しさは、もはや人間国宝レベルだ。さらにハーウッドにプロレス史上最高の合体技と誉れ高い「インペリアルドロップ」を発射するだけにとどまらず、バレッタに対しては場外に設置したテーブル上へのエリミネーターまでさく裂させる。オーカーンとコブの圧倒的なパワーにはプロレスの本場・米国のファンも度肝を抜かれ、場内は総立ち。なかには「おい…見てるか谷沢…お前を超える逸材がここにいるのだ…!! それも…2人も同時にだ…」と頭を抱える観客もいたように見えた。

 オーカーンとコブは6月12日大阪城ホール大会で、IWGPタッグ王者のバッドラック・ファレとチェーズ・オーエンズ組への挑戦が決まっている。とはいえ一部ではその実力差がニューヨーク・ヤンキースとたけし軍団に例えられており、ベルト奪回は確実視されている。それだけでは飽き足らないのか、米国のROHタッグ王座取りまでアピールしてAEWのリングを去っていった。

 米国でも鳴りやまない「オーカーン」の特大コールに上機嫌となった支配者は、突然の本紙の国際電話取材にも寛大な心で対応。「まずなぜか知らんが、最近は余の好感度が勝手に上がってしまって、困っておったのじゃ。乱入もするしテーブルも使う。余たちの怖さを忘れるなよというあいさつ代わりじゃ。あとはそのついでに、ROHのタッグ王者のベルトも戴冠してやってもいいかなと思っておる」と、今回の乱入の真意を明かした。

 新日本内では人気・実力ともに断然トップのユナイテッドエンパイアだが、今年1月のノアとの対抗戦をはじめ、他団体との戦いには全く縁がなかった。「余たちは冷遇・不遇をあじわってきた。だからこっちから侵略して禁断の扉を開けてやったのじゃ」。団体からの不当な扱いにもめげることなく、自らの手で未来を切り開くオーカーンの勇ましさが北半球を駆け巡った格好だ。

 今回の乱入劇によって全米がプロレス界…いや、日本の宝の存在に気付いてしまった。東洋の島国に収まる器ではないオーカーンは「日本はもうすでに支配したようなもんだし、移住して米国に活動の拠点を移そうとも思っておる」とまで豪語。大谷翔平、大坂なおみを陵駕する影響力はすでにスポーツ界を飛び越えており、日本の国連安保理常任理事国入りはこの男にかかっていると言っても過言ではない気がする。