新日本プロレスは27日に会見を行い、SNS上で退団を示唆していた飯伏幸太(40)について現状説明を行った。

 飯伏は昨年10月の「G1クライマックス」優勝決定戦(日本武道館)で左肩を負傷し、長期欠場している。そんな中で5月に入り、SNSで団体社員(以下・同社員)との私信をツイッターに貼り付け〝解雇通告〟を受けたと告発。大張高己社長も名指しで批判していた。また、ファンとのやり取りでは退団や引退もほのめかし、インターネット上を騒然とさせていた。

 この日の会見には大張社長とブシロードの木谷高明会長が出席。冒頭に一連の騒動に対する謝罪が行われ、契約を解除するかのようなメッセージが送られたことが事実であると明かされた。

 大張社長の説明によれば、騒動の発端は3月に行われた「JUST TAP OUT」の後楽園大会に欠場中の飯伏が新日本に無断で訪れ、TAKAみちのくのセコンドについたことだという。新日本専属契約選手である飯伏は、他団体への出場に際して事前に会社への連絡や承諾を得ることが義務付けられており、この行為は契約違反に該当する。

 同社員は選手との各種連絡を行う担当にあり、飯伏と長年の交流があった。他団体の無断出場を、新日本から契約解除を自ら促す行為としてとらえ、かつ長年醸成された信頼を反故された喪失感とともにメッセージを送ったと述べているという。

 退団を辞さない飯伏の意向を知った大張社長は、3月31日に本人と面談。無断出場についてはTAKAからの招きを受けて控室を行き、自身の考えで試合中にリングサイドにセコンドとして出場したとの説明を受けたという。大張社長は故意ではないとはいえ、れっきとした契約違反にあたる事実を伝えて厳重注意し、飯伏も謝罪をしたという。ただし、この時点で大張社長は担当者からの契約解除の文言を含むツイートを把握できていなかったという。

 飯伏がツイッターで暴露を開始したのは5月10日以降だが、これは飯伏の異変を察した母親が自殺未遂をして腰の骨を折るなどのケガを負ったことがキッカケだったと説明しているという。これを受け、新日本も法務担当者を含めた対策会議を行い、最善の策を検討。飯伏とも直接会って謝罪し、5月26日に飯伏、木谷オーナー、大張社長の3者で対話と意見交換が行われたという。

 大張社長は「無断の他団体出場は専属契約に反する行為ですし、内部のやり取りを公開することも当該契約に反する行為であります。経緯も踏まえて飯伏選手の処分については後日決定してまいります」と説明。一方でメッセージを送った社員についても「選手契約の有無はレスラーにとっては死活問題であり、担当者の発言についても容易に許されるべきではないと考えてます」として「長年の関係性や理由はあれど、レスラーに対する配慮を欠く発言であった」と処分を行う意向を明かした。

 なお、飯伏は退団・引退を示唆する投稿を繰り返してきたが、木谷オーナーは「多大なる功績を残している飯伏選手には、引き続き在籍していただきたい。特に今は肩のケガやお母さまの治療に専念していただきたいと思います」と明言。「今後、もし飯伏選手が新日本を離れたいという時期が来るのであれば、その際に話し合って決定していければ」と補足した。

 大張社長と木谷オーナーは会社と選手間の気持ちの行き違いがあってはならないこととして、再発防止に務めていくことを約束。木谷オーナーは「私自身は彼の意思を尊重したい。ぜひともまた輝いている飯伏さんを見たい。リングの外のゴタゴタは、われわれに原因があるにせよ、これにて終わりにしたいと思っております」と語り、「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」のシリーズ中にもかかわらず騒動の鎮火が遅れたことを選手・ファンに改めて謝罪していた。