力投もむなしく…。巨人・桑田真澄投手チーフコーチ(54)ら首脳陣が、2―3で敗れた27日の日本ハム戦(東京ドーム)後、8回3失点と奮投しながら3敗目を喫した先発・戸郷翔征投手(22)をねぎらった。

 粘り強い投球で試合を作った。戸郷は初回から2イニング続けて三者凡退に抑える好発進。3回には浅間の適時打などで2点を失ったものの、その後はしっかりと立て直して熱投を続けた。それでも2―2で迎えた8回、再び浅間に今度は痛恨の勝ち越しソロを被弾し、これが決勝点となった。

 戸郷は「最後まで行きたかったけれど、あそこで打たれてしまい、勝ち切れなくて悔しいです。次はその反省を生かして頑張っていきたいです」と終盤の被弾を猛省。一方で、果たすべき仕事をやり遂げながらも打線の援護に恵まれず黒星がついた右腕へ、首脳陣は同情するほかなかった。

 原監督が「戸郷は責められないね。本人は反省はあるかもしれないけどね、これは責められませんね。良かったと思います」と肩を持てば、桑田コーチも「本当に戸郷に勝たせてあげたかったですね。移動試合で救援陣含めて野手も疲れているという中で『俺が1人で投げ切るんだ』という意気込みを感じました」と投球の姿勢を評価。

 確かな成長を見せている次期エース候補なだけに、勝ち星を付けてあげられない悔しさは本人以上に大きい。「粘れる投手になってきましたのでね。非常に今日は良かったと思いますし、とにかく僕は勝たせてあげたかったですね。前回(5月20日の阪神戦)も8回0点で投げていたので。今日は本当になんか…かわいそうというかね、胸が痛くなる敗戦でしたね」と、桑田コーチは思いを明かした。

 試合には敗れたが、連戦の疲れを癒やすべく、救援陣を稼働させずに1試合を投げ切った戸郷の働きは小さくない。翌日の試合にもつながる、価値ある力投だった。