苦闘する中田翔内野手(33)へチーム内から叱咤が飛んだ。巨人は27日の日本ハム戦(札幌ドーム)に2―3で惜敗。交流戦成績は2勝2敗となった。そんななか蚊帳の外だったのが昨年8月の電撃移籍後、初の古巣対戦となった中田だった。ベンチスタートから出番なしに終わった背番号10にチーム内からは「スタメン奪取指令」が出された。

 わずか3安打2得点で日本ハム先発・上沢の前に完投負け。原監督は「(先発の)戸郷は責められないね。まあ本人は、反省はあるかもしれないけどね、これは責められませんね。(内容は)良かったと思います」と8回3失点の右腕をかばった。

 3回一死三塁、まさかのエンドランで一ゴロの間に先制点を奪われ、浅間に3号勝ち越しソロを含む2打点。「ビッグボス」にしてやられた形となった。

 もっとも試合前の主役は「大将」だった。日本ハム練習中に中田が姿を見せると、かつてのチームメートたちが次々にあいさつに訪れた。稲葉GMとは15分以上にわたって談笑するなど、和やかなムードに包まれた。

 中田にも期するものがあった一戦だったが「6番・一塁」はチーム最年長・中島が務めた。1点を争う接戦にも中田に出場機会はなかった。

 そんななかチーム関係者は「チーム最年長の中島がスタメンで出ているようではウチは苦しい。代打の切り札として常に待機していないと…。控え組にとってチャンスのはずなのに、中田も含めて中島以上に一塁で使いたいという選手がいない。中田には圧倒的な打撃でポジションを奪ってほしい」と中田に奮起を促した。

 直近10試合で中田の先発出場はわずか2試合。残りはすべて中島がスタメンを張っている。原監督が「切り札ですから」と話すように、本来ならば中島を代打で温存したいところ。右ヒザのケガで坂本を欠くチーム事情により、ベテランをスタメンで使わざるを得ない状況だ。得点圏打率3割6分8厘と依然、勝負強さを見せる中島も、スタメンが続くなかで打率2割2分6厘と下降気味となっている。

 首脳陣も「元日本の4番」をただ控えに置くつもりはない。4年ぶりとなる左翼守備を練習するなど、外野起用のオプションも考えている。

 とはいえ過去ゴールデングラブを4度獲得した一塁での活躍が中田に求められる姿でもある。この日、中継の解説に訪れた球団OBの清原和博氏からも放送の中で「中田選手が好きで応援したい」とエールを送られた。周囲を納得させる打撃で中田がスタメンを勝ち取れるか見ものだ。