世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された、是枝裕和監督(59)初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」(6月24日公開)の会見が27日、フランスで行われた。

同作は、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができる“ベビーボックス”に赤ん坊を捨てた母と、赤ん坊を連れ去った男2人が養父母探しの旅に出る物語。脚本も手掛けた同監督は「悪意を持って旅に同行した人が1つ、良いことをすることを紡いでみたいと思って作った映画」と語った。

題材のベビーボックスについては「評価は日本でも韓国でも定まっていなくて賛否両論ある」と説明。その上で、ぺ・ドゥナ(42)演じる刑事が冒頭で「捨てるなら生むなよ」と口にしながら、母親に対する考え方が変わっていく物語を踏まえ「見た人が価値観を、もう1度見つめ直していただければ」と語った。また新生児の取り違え事件を描き13年のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞した「そして父になる」と、万引で生計を立てる血縁のない家族を描き自身初のパルムドールを受賞した18年「万引き家族」と今作が「直線的につながっている」とも語った。

19年にパルムドールを受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」に主演したソン・ガンホ(55)をはじめ、韓国のトップ俳優がそろったことも注目されている。前日26日(日本時間27日)の公式上映は、スタンディングオベーションが12分も続く盛況だった。隣に座り、上映中に手を握り合ったソン・ガンホは、公式上映で初めて完成した映画を見て「撮っている時、こんなに感動的な映画になるとは正直、思っていなかった」と驚いたという。28日(日本時間29日)で、2度目のパルムドール受賞なるか期待が高まる。