地獄の先に光があった。カーリングの日本選手権男子決勝(29日、北海道・アドヴィックス常呂カーリングホール)、SC軽井沢クラブが札幌国際大に11―7で快勝。5年ぶり9度目の優勝を飾り、新設されたパンコンチネンタル選手権(11月・開催地未定)の日本代表に決まった。

 地道な努力が花開いた。2月の北京五輪では、女子のロコ・ソラーレが銀メダルに輝いた一方で、日本男子勢は出場権を逃した。悔しさをバネに「世界で勝つために必要なこと」を考え、行動に移してきた。その1つが体力強化だ。サード・山口剛史(37)は「カーリングの基礎技術だけじゃなくて、肉体改造からやった。夏を過ぎたあたりから、新しいトレーナーに入ってもらって、体も心も厳しく育てていただいた」と苦笑い。逆立ちなどの原始的なトレーニングで徹底的に追い込んだ。 

 フォルティウス(女子)のサード・小野寺佳歩(30)、コンサドーレ(男子)のスキップ・谷田康真(28)らとカーリング筋肉部で活動している山口でさえ「貧血で倒れたこともあった」というが、一回り成長した選手たちは強かった。1次リーグを全勝で1位通過。プレーオフでは札幌国際大に敗れたものの、準決勝でコンサドーレに勝利した。この日の決勝でも第1エンド(E)に2点を先制すると、終始自分たちのペースで試合を進め、前半5Eを7―4で折り返す。後半も着実に追加点を重ね、リードを広げ、リベンジに成功。山口は「平昌後の4年はすごくつらかったけど、みんな上を目指そうとやってくれた。みんなが僕たちのチャレンジを応援してくれたおかげで今がある。決勝はみんなが僕のことを引っ張ってくれた。本当にうれしい」と涙ながらに喜びを語った。

 4年後のミラノ・コルティナダンペッツオ五輪に向けて、最高のスタートを切った。まずは日本代表として世界で自分たちの実力を確かめる。