鷹がコイを圧倒した。ソフトバンクは29日の広島との交流戦(ペイペイ)に8―0の完勝。41歳にして自己最速149キロをマークした和田が、左足をつった影響で4回途中降板するアクシデントに見舞われながらも、7人の投手リレーで完封した。打線は3本塁打を浴びせ、3試合連続となる2桁安打と投手陣を強力援護。大瀬良、森下、アンダーソンと〝表ローテ〟で挑んできた広島を3戦合計「26―1」と完膚なきまでに打ちのめした。

 危なげない試合運びだった。初回、グラシアルの先制打で主導権を握ると、3回には牧原大が2戦連発となる3号ソロで加点。4回は周東のスクイズ、三森の6号ソロなど大技、小技で4点を奪って中押しした。6回には周東が今季1号のダメ押し2ラン。1、2戦目同様、この日も左打者をズラリと7人並べたオーダーが、面白いように機能した。

 新型コロナ濃厚接触疑いで離脱した今宮に代わって遊撃を守り、攻撃的2番に入った牧原大が連日の大暴れ。31日の巨人戦で今宮が復帰するまでの「応急措置」で起用した藤本監督も「牧原(大)は『ジョーカー』で素晴らしい活躍をしてくれている」と賛辞を惜しまなかった。

 一軍に25日に昇格したばかりの周東は13打数6安打、打率4割6分2厘と打撃好調。今カード初戦では本盗を決めるなど、自慢の快足も健在だ。守っても、この日ボテボテの三ゴロを、ベアハンドキャッチしてアウトにする好守を披露。右肩手術の長いリハビリを経て戻ってきた韋駄天が、藤本監督の「用兵」の幅を広げている。

 交流戦は開幕カードのDeNAに負け越しスタートとなったが、福岡に戻って見事に覚醒。試合後、3タテを食らった広島・佐々岡監督は取材対応することなく球場を後にした。盟主・巨人との戦いを前に、鷹の状態は熱々に仕上がっている。