忘れ物を取りに行く。全日本プロレス29日の後楽園大会で、3冠ヘビー級王者の宮原健斗(33)がT―Hawkを下しV4に成功した。

 試合は序盤から互いの左手をつかんで打撃を打ち合うなど、互いの意地がぶつかる熱戦となる。中盤には、コーナー最上段に上ったところで強烈なチョップを受けて場外に転落するなどダメージを蓄積され、ペースをつかまれた。

 だが持ち前の粘りで相手の攻撃を耐え抜くと、雄たけびをあげながら反撃だ。コーナーによりかかった相手の背中にブラックアウト(ヒザ蹴り)、さらに投げっ放しジャーマンを決めると、ここから目まぐるしく攻防の入れ替わる展開に突入する。ブラックアウトとケルベロスで互いのヒザが交錯するなどぶつかり合った。

 だが、最後はヒザ蹴りで一瞬動きが止まったT―Hawkをシャットダウンスープレックスで投げ切り、3カウントを奪って防衛に成功した。

 試合後、マイクを持った宮原は「T―Hawk、あんたみたいなエネルギーのあるレスラーが同世代にいて誇りに思うよ。そして今日、アナタと戦えて誇りに思う。俺らの世代でこのプロレス界を引っ張っていかないといけないんだ。またアンタと対峙した時は今日以上の戦いをするぞ。お互いのこれからの人生を〝GLEAT(グレート)〟しようぜ」と呼びかけた。

 さらに、次期挑戦者に「俺には1つ、このベルトを巻き続ける中で心残りがあるんだ。決着を付けなきゃいけない男がいる。それはジェイク・リー!」と昨年末にケガで王座を返上した前3冠王者を指名。ジェイクが快諾すると「言っていいのかいけないのか分からないけど。大田区でやらせろ」と、6月19日の東京・大田区総合体育館大会でのV5戦をぶち上げた。

 昨年10月に同じ大田区総合体育館で行われた3冠戦では60分時間切れ引き分けでジェイクからの王座奪取に失敗している宮原。その〝心残り〟を片付けて、長期政権を盤石なものとできるか。