立憲民主党が“AV禁止法”を作る!? そんなニュースが流れてネットが大荒れだ。「禁止したら絶対に犯罪増える」「考えたやつ相当バカだろ」「選挙前にオウンゴール」などと炎上。西村智奈美幹事長が「立憲民主党が党方針として『性行為伴うAV禁止の法制定』の検討を決定した事実はありません」と声明を発表するなど火消しに追われた。立民は“地雷”を踏んでしまったのか。

 きっかけは25日の「AV出演被害防止・救済法案」の審議中のやりとりだった。神奈川新聞社のニュースサイト「カナロコ」は「性行為伴うAV禁止する法制定を別途検討 立憲民主党が方針『テレビの殺人シーンで実際に殺さない』」とのタイトルの記事を配信。立民議員の「政党として性行為AV禁止の法律を別途検討していくことは可能か」「本法成立後の議論、検討は可能だ」との質疑を取り上げた。

 この報道のインパクトは大きかった。現役AV女優の天使もえは「#AV禁止」を付けた上で、「私たちがそれをやめたとしても、FC2や違法なルートでの販売を厳しく取り締まらない限りはそちらの界隈が繁盛するだけで根本的な問題の解決には至らないと思います」と指摘。さらに「この法案は業界を自分の思い通りにしたい方々を表面上満足させるだけのもので、私たちを救う光にはなりません」と指摘した。

 もちろんAVファンたちもツイッターなどで怒りの声を上げており、その矛先は立民に向かっている。立民関係者は「まったく党の方針ではないし、困惑しています。議事録を読みましたが、どこをどうしたら『AV禁止法を作る』ということになるのか」と報道に頭を抱える。

「そもそも、審議されている法案はAV撮影での性行為を禁止するかどうかという点には一切手を付けていません」

 議論の発端は、以前だったら18、19歳が保護者の同意なく結んだ契約については「未成年者取り消し権」で無効にすることができたが、4月から成人年齢が18歳に引き下げられたことで、それができなくなることが特にAVの出演契約でクローズアップされたことだった。審議している法案はあくまでその救済が目的だったのだ。

 救済法案をめぐってはいろいろな人たちが声を上げていた。「特に熱心な人たちが2タイプいました。まずは『表現の自由を守れ!』という人たち。AVも創作物なので表現の自由を規制するようなことは認められないとの主張です。もう一方が『そもそもAVをなくしてほしい』『撮影での性行為をなくすべき』という人たちです。被害の当事者が切々と訴えるので感情移入する議員は多かったと思いますよ」(同)

 問題となったやりとりについて、永田町関係者は「立民はAVや性行為をなくしてほしいという人たちへの配慮のために、このやりとりをあえてしたのかもしれません」とみる。アピールがアダになった可能性がある。

 とはいえ、影響は甚大だ。「参院選前にとんでもないマイナスになった。議員の事務所には『AV禁止するなら応援しない』なんて電話もあった」とある議員秘書はうなだれる。
 人間の3大欲求にかかわることだけに慎重な取り扱いが求められている。