FMWやIWAジャパンなどでデスマッチファイターとして活躍したターザン後藤さん(本名・後藤政二=享年58)の訃報を受け、〝邪道〟大仁田厚(64)が哀悼の意を表した。

 取材に対して開口一番「ショックであまりしゃべれないんですけど。ターザンが亡くなったなんて信じられない気持ちで一杯で…」と声を落とした。

 1989年10月にFMWを旗揚げした大仁田は、家族で米国にいた後藤さんに連絡し協力を要請。成田空港まで迎えに行った。当時、後藤さんは全日本プロレスに所属していたため、ジャイアント馬場さん(故人)に「一緒にやります」と断りを入れ、FMWに迎え入れた。

 だが、1995年5月の大仁田の引退試合で対戦する予定だった後藤さんが突如、退団。2009年~10年にかけてお互いの興行に出たこともあったが、金銭トラブルが発生し、その後は音信不通だったという。

 それでも大仁田は「いろいろあったけど、今の俺があるのはターザンがいたからこそ」と語る。

 2017年10月の7度目の引退試合では当初、対戦相手に考えていたのが後藤さんだった。そこで大仁田は後藤さんが働く東京・押上の「太楼ラーメン」を訪れたが、運悪く不在。その後、店内にいることを知った後藤さんから、同行したスタッフに「何しに来た! 早く帰れ!」という怒りの電話があったのが最後だった。

「会うこともできなかったのは悔やまれるな」と振り返った大仁田は「なぜか、俺だけが生き残っているよ」とつぶやいた。

 ミスター・ポーゴさん、ハヤブサさん、非道さん、保坂秀樹さん、そして後藤さん。かつての仲間たちが先に天に召される状況に、さすがの大仁田もこらえきれない様子だった。