【アイオワ州デモイン発】WWEの〝アメリカン・ナイトメア〟コーディ・ローデス(36)は次回PPV「ヘル・イン・ア・セル(HIAC)」(5日=日本時間6日、イリノイ州シカゴ)で、セス・ロリンズとHIAC戦で激突する。AEWから4月の祭典「レッスルマニア」でWWEに復帰後、実力者のロリンズに2連勝しており、天井付き金網マッチで3連勝なるかに注目が集まってる。

 今週のロウでは、コーディがスーツ姿でHIAC戦への決意を語っているところに、ロリンズが観客席から登場。「オレはお前が大嫌いなんだ!」などと言い、連敗中の相手を挑発した。コーディは場外のロリンズに襲いかかって殴り合いに。強烈なタックルで場外フェンスごと吹っ飛ばし、マウントをとってパンチを連打した。スタッフが止めに入ったが、コーディもロリンズもスタッフを振り切り乱闘となった。大激戦の予感が漂う中、同大会の告知画像にはコーディの写真が使われており、WWE復帰からわずか2か月でアメリカン・ナイトメアが〝主役〟の座を奪いそうだ。

 だが、ここまでの道のりは長かった。元NWA世界ヘビー級王者でWWE殿堂者でもある〝アメリカン・ドリーム〟ダスティ・ローデスの息子は2007年にWWEデビュー。大きな注目を集めてタッグ王座を獲得するなど活躍した。中でも同じ2世レスラーの毒蛇ランディ・オートンとは抗争を繰り広げたり、ユニット「レガシー」を結成したりと、浅からぬ因縁があった。

 転機は10年3月の祭典「レッスルマニア26」だ。コーディはオートン、当時の相棒テッド・デビアス(ジュニア)とトリプルスレット戦で激突。2世3選手による好勝負となったが、コーディは毒蛇の奥の手、パントキックを浴びて敗れ去った。オートンはこの勝利を機に、ジョン・シナと並ぶエースにまで成長した。

 一方、オートンと離れたコーディはなぜか嫌みなイケメンキャラの〝ダッシング〟に変身した。ミステリオとの抗争では鼻を骨折させられ、プロテクトマスクをかぶってファイト。それなりの話題となったものの、ここ一番では敗戦を喫し、シングルのトップ王座戦線に浮上することはなかった。

〝迷走〟の極みは13年のことだ。タッグパートナーだった実兄のゴールダスト(ダスティン・ローデス)に合わせ、ペイントレスラーの「スターダスト」に大変身。スティングのような白塗りを顔面に施してファイトした。とはいえ、本来は正統派ファイターで、父親譲りのカリスマと実力の持ち主。〝イロモノ〟が似合うわけがなく、トップ戦線は遠のくばかりで16年5月にWWEを退団した。

 それから6年。コーディは新日本プロレスやROH、AEWで激戦を繰り広げ、スター選手となってWWEに戻ってきた。HIACでロリンズに3連勝となれば、悲願のトップ王座戦線浮上を果たすことは間違いない。WWEでの〝黒歴史〟も払拭できそうだ。