赤井英和(63)の長男で、自身もプロボクサーの英五郎監督(27)が、プロボクサー・俳優である父の人生を描いた ドキュメンタリー映画「AKAI」(9月9日公開)の完成披露舞台あいさつが24日、都内のスペースFS汐留で行われた。7月の東日本新人王ミドル級4回戦でプロ初勝利を挙げた英五郎監督は「米国で映像の勉強をしており編集、監督を務めました。緊張しますね。映画を劇場に流せるのが奇跡だと思いますし、機会をつくっていただいて感謝しています」と感無量の思いを口にした。

「AKAI」は「浪速のロッキー」の異名を持ち、80年のプロデビューから12連続KO(試合時間計72分)の日本タイ記録を持つ、赤井英和の人生を描いた。85年2月の大和田正春戦に7回2分49秒KO負け。急性硬膜下血腫と脳挫傷で試合後、緊急の開頭手術を受け、死線をさまよった。その後、87年に出版した自伝を阪本順治監督が脚本を書き、監督を務めた89年の映画「どついたるねん」に主演し、俳優デビュー。俳優、バラエティータレントとして飛躍した。同戦から35年後の2020年春、新型コロナウイルスが全世界を襲い、俳優・タレントの仕事は全てキャンセルになった赤井に、英五郎監督がボクシングとの出会いを聞いたインタビューも込めた。

製作に当たっては、阪本順治監督が全面協力し、再起不能のダウンから復活を遂げ主演として自分自身を演じた「どついたるねん」のシーンも収録。朝日放送テレビの映像協力による、世界王者に挑戦した「ブルース・カリー戦」と引退の引き金になった大和田正春戦の試合映像、貴重なインタビューも収録された。赤井は「37、38年前から見ていなかった。久しぶりにボクサー赤井英和のファイトを見て、赤井英和のファンになりました。唯一無二のスタイル、いてないなと思った。懐かしくも、興味深く思える作品。強いというよりムチャクチャ。アグレッシブなスタイルで攻めまくるのが見ている人はひかれるのではないか。守りなんてなかったですね」と満足げに語った。

この日は、1983年(昭58)7月7日に赤井がブルース・カリーに挑戦し7回KO負けした、WBC世界スーパーライト級王座戦でテレビ中継の解説を務めた、ガッツ石松(73)が来場した。石松は赤井にとって、エディ・タウンゼントトレーナーを通じての兄弟子に当たる。石松は、檀上から赤井に呼びかけられると「OK牧場! OK牧場!」と連呼して両手でガッツポーズ。赤井からフォトセッション時に「先輩も、お願いします」と呼びかけられると快く登壇。檀上では、74年4月11日にロドルフォ・ゴンザレスに8回KO勝ちした、WBCライト級王座戦とガッツポーズのエピソードを熱く語った。

石松 ガッツ石松が、やったからガッツポーズ。私が世界チャンピオンになって…私は11回負けて5回引き分けた経験を積み重ね、タイトルをつかんでやった、勝利のポーズからガッツポーズと言うようになった。特許、取っておけば良かったね。

石松が退場すると、場内は笑いが起き、沸きに沸いた。