COWCOW 29年目の全力漫才 後輩に背中を見せるという余裕?…ありません

お笑いコンビのCOWCOWが結成29周年ツアーを展開中。12月23日には大阪・なんばグランド花月(NGK)でフィナーレを迎える。中学の同級生として出会い、校内イベントでコントを演じて以来、高校、NSC(吉本総合芸能学院)、芸人デビューと、ともに歩んできた。「後輩に背中を見せるという余裕は、まだない。ただ必死で日々の舞台に立つだけ」と、しっかり前を見据えている。

お笑い

◆COWCOW(かうかう) ともにNSC(吉本総合芸能学院)12期生。コンビ結成は1993年(平5)4月。99年、ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞。同年、NHK新人演芸大賞・演芸部門大賞。01年上方漫才大賞新人賞。

多田健二(ただ・けんじ)=写真左 74年8月8日、大阪府枚方市生まれ。48歳。趣味は野球、とくに高校野球が好き。身長173センチ。

善し(よし)=写真右 74年10月19日、大阪府枚方市生まれ。48歳。趣味はものまね、カメラ、イラスト、映画。身長174センチ。

中学時代の思い出

単独ライブツアー「COWCOW 29th LIVE」は、名古屋・福岡・東京公演を終え、残すは大阪・NGKのみ。

多田 なんといってもNGKは特別な場所です。伝統があって、劇場の造りそのものが他とは違いますから。すべての芸人があこがれる所です。365日、その日によって色が違っていて、気持ちを新たに舞台に立たせてもらいます。

善し 長いことNGKには出演させてもらってますが、毎日毎日こんなに違って見えるものか、舞台に立つのが「怖い」とさえ感じています。単独ツアーや通常の寄席、テレビの収録など、そのたびに顔を変える劇場で、天使にも悪魔にもなるんですよ。

NGKの観客は多種多様。芸人を困らせるのは、漫才中であってもかまわず弁当を食べ出す客。今はコロナ禍もあって劇場内で食事はできなくなったが、かつては芸人泣かせの弁当タイムだった。

多田 出番のときに弁当を食べられるのは、本当につらかった。

善し 若い頃は、我々も余裕がなかったんでしょうね。昔のビデオを見直してみると、妙にテンポが速いんです。NGKの雰囲気にのまれていたのかもしれません。

多田 ただ、劇場の緊張感はNGKに限ったものではありません。マンゲキ(よしもと漫才劇場=大阪・千日前)や東京のルミネにも立たせてもらいますが、NGKとどっちが上とか下とかじゃなく、ちょっとでも気を抜いたら足をすくわれるのは共通しています。

福岡公演には、善しの母親(大分県在住)が訪れた。長くCOWCOWのライブを見ている母の目には、今回の舞台が一番楽しかったという。