サザンオールスターズ桑田佳祐(66)、佐野元春(66)世良公則(67)Char(67)野口五郎(66)からなる“最強の同級生”5人のスペシャルバンドが、大みそかの「第73回NHK紅白歌合戦」(午後7時20分)に、特別企画で出場することが17日、分かった。

4人を直接説得した桑田が作詞作曲した、世界中の子供たちの明るい未来を願うチャリティー・ソング「時代遅れのRock’n’Roll Band」をテレビ初歌唱する。

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今年の紅白が掲げるテーマ「LOVE&PEACE -みんなでシェア!-」をまさに象徴する5人が、ついに集結する。同曲は、終わらない新型コロナ禍や海の向こうで起きている紛争など、混迷を極める今の世の中に向けて作られたメッセージソング。それぞれのフィールドで活躍する5人のスケジュールが奇跡的に合致し、紅白では事前収録されたパフォーマンスが披露される予定だ。

楽曲は5月に“緊急配信”された。その発端は今年の2月下旬。メールのやりとりはあったが、なかなか共演する機会がなかった桑田と世良が、久しぶりにプライベートで顔を合わせた。その際の「同級生で協調して、今の時代に向けた発信をできないか?」という会話がきっかけとなり、そこから異例のスピード感で話が進んだ。

その後桑田は、同い年のボーカリスト兼ギタリストである5人で結集する構想を描き、楽曲を作詞作曲。佐野、Charとは80年代に共演歴があり、野口は桑田がリスペクトしているという関係性で人選した。そして4月末、4人それぞれに手紙を書いて送り、所属事務所にデモ音源とともに自ら足を運んで説得。「今あえて時代遅れなやり方で、我々の世代が『音楽という名の協調』を楽しむ姿を発信し、その中で『次世代へのエール』や『平和のメッセージ』を届けたい」という思いに4人が賛同し、結成が決まった。

製作期間は、手紙を送ってからたったの1カ月。歌詞には、ドストレートに平和への思いを詰め込んだ。「この頃『平和』という文字がおぼろげに霞んで見えるんだ 意味さえうつろに響く」「No More No War 悲しみの 黒い雲が地球を覆うけど 力の弱い者が 夢見ることさえ 拒むと言うのか?」。昭和のレジェンドたちが、力強く歌い上げる姿は圧巻だ。収益の一部は、困難に直面している世界中の子供たちの未来といのちを守るため「セーブ・ザ・チルドレン」に寄付している。

40年以上第一線で活躍している5人が結集するのは、意外にも今回が初だった。日本の“オヤジたち”が大みそか、世界に向け平和を届ける。

○…桑田はこれまでサザンで5回、ソロで2回紅白に出場。食道がんを公表し、一時活動を休止していた10年には、紅白のステージで完全復活を果たした。18年には究極の大トリとしてサザンで出場。「勝手にシンドバッド」を歌唱中に、松任谷由実と“コラボ”した。20年には、桑田が楽曲提供した「ブッダのように私は死んだ」を歌唱した坂本冬美のパートにVTR出演するなど、紅白で何度もスペシャルなステージを披露してきた。

◆桑田佳祐(くわた・けいすけ)1956年(昭31)2月26日、神奈川県茅ケ崎市生まれ。青学大在学中サザンオールスターズ結成。78年「勝手にシンドバッド」でメジャーデビュー。

◆野口五郎(のぐち・ごろう)1956年(昭31)2月23日、岐阜県生まれ。71年「博多みれん」でデビュー。故西城秀樹さん、郷ひろみとともに「新ご三家」と呼ばれヒット曲多数。

◆佐野元春(さの・もとはる)1956年(昭31)3月13日、東京都生まれ。80年「アンジェリーナ」でデビュー。代表曲は「ガラスのジェネレーション」「SOMEDAY」など。

◆世良公則(せら・まさのり)1955年(昭30)12月14日、広島県生まれ。77年世良公則&ツイストとして「あんたのバラード」でデビュー。「燃えろいい女」などヒット曲多数。

◆Char(チャー)1955年(昭30)6月16日、東京都生まれ。8歳でギターを始め76年「Navy Blue」でデビュー。「伝説のギタリスト」などと称される。