メッケル憩室癌(がん)で闘病中だった「愛は勝つ」のヒット曲で知られるシンガー・ソングライターのKANさん(本名・木村和=きむら・かん)が、12日午後6時29分に死去したことが17日、分かった。61歳だった。公式サイトが17日に発表した。

KANさんが、今年3月に罹患(りかん)を公表したメッケル憩室癌は、憩室と呼ばれる内臓の外側に飛び出た袋状の突起物が、小腸の壁の一部にできたもので、出産の際に胎児と母体を結んでいる卵黄管が、出産後に残ってでき、そこに、がんが発生する。この憩室が生まれつきみられる人は人口の0・6%から2%程度とされ、男性に多く、ほとんどの人は無症状と言われている。メッケルは発見した19世紀ドイツの解剖学者の名から取られている。

そもそも、2日に亡くなった大相撲の元大関朝潮で先代高砂親方の長岡末弘さんが罹患した小腸がん自体、100万人に6人が罹患するといわれるほど症例が少ない上、メッケル憩室自体が人口の2%しかみられないため、極めてまれな症例で発生頻度は1%前後だという。

メッケル憩室癌は、基本的には無症状のため、気付かないうちに進行している場合も少なくない。ただ、がんが広がると腸をふさぐため腸閉塞(へいそく)が起こり、腹痛や出血があるという。KANさんは3月に罹患を公表した際「昨年秋に発症した腹痛が数週間継続したので病院に行き、検査を繰り返すうちにだんだん深刻な雰囲気になり、大きな病院に移って、更に多様な検査の後、組織摘出手術を行い、病理検査の結果、『メッケル憩室癌』と診断されました」と説明しており、腸閉塞を引き起こしていた可能性はある。

【悼む】「盲点に君臨」したKANさん「愛は勝つ」に込めた思い 音楽記者として初めて前のめりに>>