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『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は何がスゴいのか “ガンダム映画”最大ヒットに現実味

20年ぶりのシリーズ最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
20年ぶりのシリーズ最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 - (C) 創通・サンライズ

 1月26日に劇場公開された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、初日から3日間で観客動員63万4,000人・興行収入10億6,600万円を記録し、週末映画動員ランキングで初登場1位を獲得しました。パッケージ販売数はシリーズ累計400万本を超え、グッズ、音楽、イベント、上海での実物大フリーダムガンダム立像建造など、一大ブームを巻き起こした「ガンダムSEEDシリーズ」。アニメ続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004~2005)から約18年の歳月を経ての公開となりましたが、蓋を開けてみれば、ガンダムシリーズ最大のヒット作になる公算が強くなりました。(以下、映画のネタバレを一部含みます)(文・村松健太郎)

【動画】西川貴教、『ガンダムSEED』主題歌に込めた熱き想い 単独インタビュー

『機動戦士ガンダムSEED』の歴史

(C) 創通・サンライズ

 今や20年の歴史を持つ「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」ですが、スタート当初はガンダムファンから必ずしもウェルカムな状態ではありませんでした。漠然としたガンダムのイメージと言えば、アムロやシャアが登場して“3倍速い”とか“おやじにもぶたれたことないのに”などが登場するものと思われるでしょう。

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 これらは“宇宙世紀”という架空の歴史観に基づいています。基本的にガンダムシリーズは、この宇宙世紀の世界観で語られてきました。90年代半ばになると、“宇宙世紀以外の世界観”のシリーズが展開されるようになりましたが、それでもやはり“宇宙世紀”は別格であり、これに言及することはある種のタブーでもありました。

 そんな中、2002年にアニメ『機動戦士ガンダムSEED』のテレビ放送がスタートします。『SEED』に関してはタイトルの時点で反発を生みました。というのも“機動戦士”という肩書は“宇宙世紀モノ”だけが名乗ってきたものだったのです。たかがタイトルではありますが、この4文字を名乗っただけでも“宇宙世紀”のファンは馴染めませんでした。

 さらに『機動戦士ガンダムSEED』は“21世紀のファースト(=『機動戦士ガンダム』一作目の通称)”と呼ばれていて、ストーリーやキャラクター、メカニック(=いわゆるモビルスーツ)の面で“宇宙世紀モノ”へのオマージュを大々的に展開しました。オマージュと言えば響きは良いですが、“宇宙世紀モノ”の熱心なファンからは気軽に触れるべきではないという意見も少なくありませんでした。

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 美形キャラクターを集めて、恋愛要素を強く押し出し、主題歌も一般アーティストを次々と起用したこともあって視聴率は好調でしたが、放送当時の感覚としては、やはり反発も強かったという印象でした。

20年の月日を経て公開

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(C) 創通・サンライズ

 “好きという感情の反対は嫌いではなく無関心”という考え方がありますが、まさに『SEED』の20年はそんな20年だったと思います。熱心に『SEED』に反発する人たちもその分だけ、『SEED』を深く見続けてきたわけで、気が付けば愛着も湧いてくるというものです。このファンの感情が、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』にとってはとても良い方向に働いたと思います。

 先に挙げたストーリー展開、キャラクターやメカニックについてもいつの間にか強い愛着を持つ人が増え、“宇宙世紀至上主義”のような方から見ても諸々のオマージュも微笑ましく楽しめる存在になります。

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 実は、劇場版の製作は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の放送直後からアナウンスされていました。ところが、いつの間にか“予定は未定”状態に。それが、シリーズ放送開始20周年のタイミングで再始動。20年という歴史が、“すごく好き”から“嫌いなところもあるけど好き”というような人々まで、幅広く『SEED』の名の下に気持ちを集めることができたのでしょう。

 「ガンダムSEEDシリーズ」のファンにとって、楽曲を数多く提供したT.M.Revolutionこと西川貴教が、小室哲哉(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主題歌をTM NETWORKとして担当)とタッグを組んで主題歌「FREEDOM」を担当することも嬉しいニュースになりました。主題歌という形で“宇宙世紀”と“SEED”がリンクしたわけです。

 さらに、初のポスタービジュアルが発表されると大きな話題になり、予告編が公開されるとワンカットずつコマ送りにして、隅々まで考察する人も多く見受けられました。

拍手喝采!ファンの心を大きく揺さぶる最新作【ネタバレあり】

(C) 創通・サンライズ

 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は、徹底した情報統制による“ネタバレ”の数々が、予想以上のインパクトを与えました。それがファンの心を大きく揺さぶり、とても良い方に気持ちが上がり、結果として観終わった後の高い満足度に繋がりました。これは、そのまま作品の高評価や興行に繋がっています。

 例えば“ズゴック”の登場です。ズゴックと言えばファーストガンダムの人気モビルスーツの一つ、それまでも『SEED』ではザク、グフ、ドムが登場しており、映画にゲルググやギャンが登場することも予告編の段階で明らかになっていましたが、まさかのズゴックが登場。しかも、その描写もファーストガンダムにオマージュを捧げた演出になっていました。さらに、このズゴックには驚きの仕掛けがあり、観終わったファンからは唸る声まで聞こえてきました。

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 さらに、テレビシリーズで活躍したモビルスーツたちが改修されて総登場するなど、まさに同窓会状態になりました。公開に合わせて新型MSが発表され、これらが“主役機”になるのだろうと思われていましたが、後半では『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を彩った人気の機体がそろって大活躍。これにはもう拍手喝采状態です。

『ガンダムSEED』が歩んだ20年

(C) 創通・サンライズ

 『機動戦士ガンダムSEED』は“21世紀のファースト”的立ち位置を目指すとともに、直前に起きた全米同時多発テロによる“一瞬で変わる日常”、そして“争うことを選択してしまう人々の姿”を描きました。約20年ぶりの新作となる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』もまた、その点には変わりありません。

 現実の世界情勢からみれば、むしろ事態は2002年より混迷を極め“戦争がより身近”な時代となっているかもしれません。そんな部分も『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の物語とリンクしました。このリンクについては、できればあってほしくない事柄なのですが、映画本編を見た人たちは、自然と現実と物語を重ね合わせて深く考えるような物語になりました。そこがまた心に沁みる部分があったと思います。

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 ガンダム劇場版シリーズの歴代最高興行収入は、『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』(1982)の約23億円。『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、42年ぶりに記録を更新することも現実味を帯びてきました。『ガンダムSEED』がこれから劇場をどのように盛り上がげていくのか、今から楽しみで仕方がありません。(ランキング・数字などは興行通信社、日本映画製作者連盟調べ)

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』全国公開中

西川貴教『ガンダムSEED』に寄り添った楽曲制作と20年の思い『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』単独インタビュー » 動画の詳細
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