ジュニアグループHiHi Jetsが、ぴあアリーナMMの横浜公演から全国ツアーを開幕した。24日に行われた最終日の昼公演を取材し、猪狩蒼弥(21)の「伝える力」が印象的だった。

本編ラスト、メンバー1人1人がスピーチした。猪狩はグループ初のアリーナクラス8連続公演を開催した喜びと感謝を語った上で、「俺らのライブって、ここで話す時間を絶対設けるようにしていて。やっぱり、意外と少ないんですよね。俺たちの生の声を皆さんに届ける機会って」と切り出した。

「今だと、例えばここで言ったことを、Xとかで拡散して、それが間違った風に伝わっちゃったりもするし。それが意図していないところで、意図していない誰かを傷つけてしまったりとか。そういうことが多い世の中だと思うんですけど。でも、なんか俺は、それが本当にすごい、笑っちゃうくらいどうでもいいと思っていて。俺はだって、ここにいるみんなにしか話していないし、ここにいるみんなのためだけに話していて」

力強く言葉を発し、「会場に来られていないファンのことを思ってないかと言われたらそういうわけじゃないんだけど」と気遣いも見せつつ、「俺はとにかくこの空間の、この人たちを相手にして話せているこの時間がすごく好きで」とあらためて強調。「本当にありがたいと思うのは、ずっと出させていただいている雑誌社さんだったりとか、番組さんとか、全部そうなんだけど、俺らにまつわる人って、俺らのこと愛してくれているなって、すごく思っているんですよ」と感謝した。

目の前のファンに向かって「まあ、皆さんはね、それはそうですよ。僕らのことを愛している。分かってます。ありがとう、ありがとう」とユーモアも交え、笑いを誘いつつ「言ってしまえば、別に楽しくて一緒にいるわけじゃない、ような関係の人たちでも俺たちのことを愛してくれて、俺たちのためにいろんなことをしてくれている。それがすごくうれしくて」と繰り返した。

「普通に生きてばかりだと、俺ってもらってばっかだな、って思っちゃう。俺のために何かをしてくれる人はいっぱいいるけど、俺ってその分返せているのかなって思っちゃうんですよ。でも、ライブとかに来たみんなが『●●って呼んで!』とか言ってくれるのを、ちょっとでも返せていたらいいなと思うわけですよ。ライブって空間がすごく好きだし、俺が発する言葉をみんなにはとにかく受け取ってほしい。俺は発することしかできないから。反対にみんなの言葉も俺にぶつけてほしいし。優しくね。そうやってみんなとの絆をこれからも深められたら思っています」

まさに「生」の思いを対面で伝え、ファン1万人から大きな拍手を浴びた。猪狩は21年11月に東京・代々木第一体育館で開催した初のアリーナクラス公演でも、「ここがゴールではないです。俺たちが一番大事にしなきゃいけないのは、攻め続けること」などとスピーチしていた。毎公演紡がれるむき出しでキャッチーな言葉は、間違いなくファンの心に直接、刺さっているのだろう。【横山慧】