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著名人もプレビューに多数来場。ジンガロ最新作は“ほとばしる生”がテーマ
2009年01月26日 16時03分 [パフォーマンス]
「Zingaro ジンガロ」スペシャルプレビュー
「Zingaro ジンガロ」

木場公園内の東京都現代美術館の隣に、突如現れたテント状の巨大な特設シアター。ここで行われるのは、約4年前『ルンタ』で日本を沸かせたフランス発の騎馬スペクタクル、ジンガロの最新作『バトゥータ』だ。初日に先駆けて行われた23日のスペシャルプレビュー公演には、地井武男、フランソワーズ・モレシャン、市川團十郎、宮本亜門、加山雄三、加藤登紀子、楠田枝里子、鶴田真由、黒谷友香、寺脇康文など多数の著名人が訪れた。

すり鉢上に客席が組まれた会場は、丸い舞台(=馬場)の中心部分に上から滝のように水が滴り落ちている。ほの暗い照明のなか、その流れ落ちる水を中心に静かに立つ14頭の白馬と幌馬車。客席の一方向にはルーマニア・モルドヴァ地方のブラスバンド、そして反対方向には同じくルーマニア・トランシルヴァニア地方の弦楽5重奏からなるストリング楽団が陣取っている。やがてストリングスの遊牧民音楽が始まると、白馬たちもゆるやかに移動し、そこに住む人々の日々の営みがスタートする。

舞台に現れる登場人物はおおむね馬に乗り、人間の生活を皆、馬を走らせながらエピソード形式で見せていく。「このオレのテクニックはどうだ?」と言わんばかりに、命知らずの騎馬アクロバットを見せつける若い男たちがいたかと思えば、洗濯物を干した紐の端と端を持ったまま馬を疾走させてしまう奥さんたちがいたり、花嫁を付け狙われる新婚カップルやお葬式が執り行われるお祖母さんがいたりする。ジンガロといえば人と馬とが一体となったアクロバットに注目が集まり、今回もそのようなシーンも多数あるが、アクロバティックな動きをしながらも、人間の生き死にまで1シーンごとにテンポ良く見せているのが新作の特徴と言えるだろう。

そしてこのテンポの良さを導き出すのが、音楽だ。ストリングスの音楽が流れると日常風景が目の前で起こり、高速リズムのブラスバンドが鳴り出すと事件性やハプニング性のあるエピソードが飛び出す。このふたつの音楽は交互に演奏されるが、時に絡み合う。この複雑な音楽にピタリと合った人馬一体の演技に、観客は“人間の生のほとばしり”を感じずにはいられない。

チベット仏教の僧侶たちによる読経が音楽の重要な要素として使われていた前作『ルンタ』を“死”の演目と呼ぶのなら、今回の『バトゥータ』はまさに“生”の演目と言えるだろう。“それでも人生は続くよ”と言わんばかりに絶えず流れ落ちる舞台中央の水、飛び立とうとする雁の足を持ちながら馬を走らせる男、黒い馬を多数引き連れて白馬を疾走させる花嫁など、象徴的に使われているモチーフからも、人間の素晴らしさや一筋縄ではいかない人生をタフに生き抜くメッセージが込められている。終演後、会場内には昨今の日本にあまり感じられない熱や興奮といったものが充満しているのをはっきりと感じた。

公演は3月26日(木)まで、東京・木場公園内ジンガロ特設シアターにて行われる。

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