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3作品、すべて女性脚本家。映像界の俊英が描く、大人の恋物語とは?
2009年06月05日 15時06分 [演劇]
『エアコンな夜』より 鈴木浩介&西田尚美
『エアコンな夜』より 鈴木浩介&西田尚美

恋愛短編小説集のページを繰るような気軽さで、“ワン・シチュエーションで30分、男女ふたりの恋物語”を3本続けて観られるPARCO劇場の恒例企画「LOVE30」。2006年から始まったこのシリーズの第3弾が4日、渋谷・PARCO劇場で幕を開けた。毎回3名の脚本家を招く本作だが、今回は初めて女性脚本家のみ、それも映像の世界で主に活躍するメンバーを呼び寄せ、軽やかなセリフの中から人間関係を冷静に見つめる作品群に仕上がった。

1作目は「ごくせん」シリーズの横田理恵が手がける『エアコンな夜』。締め切り明けで荒みきった女性漫画家(西田尚美)と、彼女の家を訪れたエアコン修理屋(鈴木浩介)は、大学時代の知り合いだった。おせっかいではねっかえりの30女と、どこまでもマイペースだが意外とおせっかいが嫌いじゃない、娘とふたり暮らしの男。懐かしさと強がりがない交ぜとなったふたりの会話に、肩透かしを食ったり食わされたりするうち、ふたりの気持ちはやがてシンクロしていく。

2作目は「ブラックジャックによろしく」などの後藤法子。彼女が書いた『ピアノ♪レッスン』は、うらぶれたピアノ教室が舞台だ。音楽界で地位を築けなかった堅物のピアノ教師(勝村政信)が弾く音色に誘われ、チャーミングだがあけすけなホステス(高岡早紀)が突然稽古をしにやってくる。喋りが過ぎる女と全く喋れない男のイライラ度は極限まで達したのち、互いの弱さや情けなさを見つめ、許す展開に…。

3作目は「ちりとてちん」で知られる藤本有紀の『しゃぼん』。昔ながらの床屋の椅子に座るのは編集者のアキラ(ともさかりえ)で、店の主・カオル(松重豊)とは子供の頃からの顔なじみ。もうすぐ結婚、仕事も順調で、やたらと饒舌なアキラ。カオルに昔から兄のような思慕を抱くアキラが顔剃りの最中に彼にふとしてしまった行為から、ふたりは10数年前のある時間に引き戻されてしまう……。

横田はアキ・カウリスマキ監督の映画のような噛み合わない会話劇を展開し、後藤は互いのセリフの量を極端にすることでふたりの人物を浮かび上がらせた。藤本はボケとツッコミを会話に取り入れ、それらを俳優が小気味良く演じることで会場の笑いを誘っていた。

作家が三者三様のカラーを持ちながらも今回の作品に共通するのは、いずれも仕事場が舞台で、男女とも自分のやりたい職業についていながら思うに任せないところ。男女間のやりとりも、恋という甘酸っぱいテイストよりももっと心の奥底で互いを認め合う情愛に似た気持ちに満ちている。それぞれの物語に続きがあるとするならば、どの登場人物もこの後、人生の再スタートを切るであろうそんなすがすがしさが感じられた。

公演は6月21日(日)まで。その後6月27日(土)・28日(日)に愛知県勤労会館、7月11日(土)・12日(日)には大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでも上演される。

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