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ロンドンを熱狂させた蜷川版歌舞伎、堂々の凱旋
2009年06月08日 12時05分 [演劇]
「NINAGAWA十二夜」が開幕
「NINAGAWA十二夜」が開幕

蜷川幸雄が歌舞伎を演出する。しかもシェイクスピアの名作『十二夜』を。その話題性と大胆な演出により2005年、2007年の公演はともに大盛況。今年3月にはさらなる進化を遂げ、ロンドン公演も成功させた。この新生「NINAGAWA 十二夜」の日本凱旋公演が、6月7日、東京・新橋演舞場にて初日の幕を開けた。

航海中に突然の嵐に遭い、離ればなれになってしまった双子の兄妹、斯波主膳之助と琵琶姫。兄の行方を案じつつも、琵琶姫は男装して獅子丸と名乗り、大篠左大臣に仕えることに。左大臣は織笛姫に求愛しており、獅子丸は使者として姫の元を訪れる。だが左大臣の想いとは裏腹に、織笛姫が見初めたのは獅子丸。その獅子丸は秘かに主人である左大臣に想いを寄せており……。

シェイクスピアお得意のロマンチック・コメディの中でも特に傑作として名高い『十二夜』。その軽妙なせりふの応酬や歯がゆい恋愛模様は、この蜷川演出版の歌舞伎でも大いに堪能することができる。軸となるのは、琵琶姫(=獅子丸)と主膳之助(すべて菊之助)、そして織笛姫(時蔵)と左大臣(錦之助)の4人の恋物語。そこに丸尾坊太夫(菊五郎)や腰元の麻阿(亀治郎)らの滑稽なやり取りが絡んでいく。

菊之助は3役という重責だが、再演を繰り返す中で確実に役柄を自分のものとした。勇ましい主膳之助に、凛とした美しさをもつ琵琶姫、そして女心と忠義の間で揺れる獅子丸。それぞれ3つの人物像を驚くべき早替わりの中で体現していく。真骨頂とも言えるのがロンドン公演を前に変更した、2幕目幕開けの獅子丸の舞踊。言葉は一切発せられず、舞のみで左大臣への秘めたる想いを伝えようとする。蜷川から「それでは国境を超えることはできない」と指摘され、再考に再考を重ねたという舞。獅子丸の複雑な心情とともに、海外公演という大舞台を踏んだ菊之助の確固たる自信をも感じることができる名場面となった。

蜷川らしい鏡を使った舞台装置もが作品に大きな効果を生んでいる。幕が開くとそこには一面の鏡。観客が舞台いっぱいに映し出されることで一瞬にして劇世界へと誘われる。また役者自身も鏡に映るため、舞台上には常に2人の人物が存在することに。それはこの作品のキーである双子をイメージさせ、観客はどっぷりとこの劇世界に入り込んでいくことになるのだ。恋する者たちにいじらしさを感じ、従者たちのいたずらにほくそ笑む。そしてラストの大団円。観劇後のなんともいえない充足感は、なかなかほかでは味わえない。

公演は28日(日)まで。その後7月5日(日)から27日(月)にかけて、大阪松竹座でも上演される。大阪公演は、6月10日(水)にチケット一般発売開始。尚、ぴあでは、東京の限定公演で、お得なぴあ特別割引一等席を発売中。

(取材・文:野上瑠美子)

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