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知る人ぞ知る名作を、旬のスタッフとキャストで新しい角度からよみがえらせることに定評のあるシス・カンパニー公演。その最新作は、劇団☆新感線の人気演出家いのうえひでのりが手掛ける「怪談 牡丹燈籠」だ。7月7日、いのうえと段田安則、伊藤蘭、瑛太らメインキャスト6名による稽古場会見が、都内で行われた。
旗本の娘・お露が浪人の新三郎に恋い焦がれて命を落とし、下女お米とともに、その死を知らない新三郎のもとへ、毎夜、牡丹燈籠を手にして訪れるという本作。日本三大怪談のひとつといわれているが、元は明治時代の落語家、初代・三遊亭円朝が伝承文学から創作落語にまとめたものを、劇作家の大西信行が杉村春子に請われて戯曲化したもの。1974年に文学座で初演以来、「落語家の円朝」役も登場する大胆な構成で、新劇以外でも繰り返し上演される人気演目となっている。
会見では演出のいのうえが、「この戯曲は、お露と新三郎の有名なくだりの後に、新三郎の下働き・伴蔵とその妻・お峰の因果話、そしてお露の父親の愛人・お国らが起こす人間ドラマが描かれているんです。そこを僕なりにスタイリッシュに、そしてスピーディに浮き彫りにして魅せたい」と語る。一方これがいのうえとの初仕事となる伴蔵役の段田は「30年くらい前に観て、素晴らしい作品だなという記憶がありました。いのうえさんのようなわりと細かく演出をつける方とは初めてなのですが、今はその世界に身を委ねようと思っています」と全幅の信頼を寄せている様子。また「いつもの新感線らしい舞台を“荒事”とすると、今回は“世話物”。細かく演出したい」と意気込むいのうえの言葉には、「(いのうえさんは)とにかく観ている方を飽きさせないようにと常に考えている方。その姿は、ほとんど愛ですね。私もそれに応えないと」とお峰役の伊藤。
さらに本作が初舞台の瑛太は「毎朝、稽古場に来るとき不安になるんですが、出演者の皆さんが優しく、想いの強い方たちばかりなので、助けていただいています。よく“舞台はハマるよ”と聞いていましたが、こういうことなんだと毎日思います」と率直な感想を。新三郎に扮するが、その新三郎とお露の愛については「一途に人を想う気持ちは、生きていくうえで大切なものだと思う」と話した。その他「尊敬する皆さんに必死に付いて行きたい」(お露役・柴本幸)、「伊藤さん、柴本さんたちとはまた異なるカップルとしてお国を演じられれば」(お国役・秋山菜津子)、「初共演の方が多いのですが、とにかく頑張ります」(宮野辺役・千葉哲也)と、和気あいあいといった雰囲気のキャスト陣。妖しく、そして密度の濃い「牡丹燈籠」の世界が期待できそうだ。
公演は、8月6日(木)から31日(月)まで東京・シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。
(取材・文:佐藤さくら)
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