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学生運動が活発だった1968年を舞台に、高校生と朝鮮高校に通う若者たちの恋や葛藤を描いて大きな話題を呼んだ映画『パッチギ!』。2005年に数々の映画賞を受賞した井筒和幸監督の名作が、ついに舞台化される。しかも井筒監督自ら総合演出を担当、主役の康介役を人気急上昇中の山本裕典が演じるとあって話題も満載。その製作発表が10月6日、都内で行われた。
物語は1968年の京都で展開。ノンポリ高校生の康介(山本)は、自分が通う東高校と朝鮮学校との乱闘に巻き込まれてしまう。その時、偶然出会った朝鮮高校舞踊部のキョンジャ(三倉佳奈)に一目惚れする康介。だが彼女は朝高の番長アンソン(石黒英雄)の妹だった。それでもキョンジャに近付きたい康介は、キョンジャの踊っていた曲『イムジン河』をギターで弾きたいと、親友の吉田(山崎育三郎)を誘ってフォークソング研究会に入会。顧問の坂崎先生(小市慢太郎)に朝鮮半島と日本との悲しい歴史について教えられる。次第に左翼運動に傾倒していく吉田を心配しながらも、キョンジャに誘われた康介は初めて朝鮮部落を訪れるが……。
会見には学ランやチマチョゴリなど、それぞれの役の扮装で現れたキャストたち。井筒監督もそれを見て「この顔ぶれだったら(ケンカのシーンで)本当に傷だらけになっても大丈夫やな」と太鼓判。さらに「娯楽性の中に、今も続いている社会的なテーマを描いているのが『パッチギ!』。舞台化はその火を消したくなかったというのが本音です。そこらのケンカだけの映画とは違うよ」と井筒監督らしい辛口のコメント。映画に続き舞台でも脚本を手掛ける羽原大介は「映画の完成度が高かったので、なかなか舞台化に踏み切れなかった。でもやるからには映画を超えるものを作りたい」と抱負を述べた。「舞台ならではの表現で作っていければ」と語る演出の茅野イサム共々健闘を誓っていた。
ノンポリの康介らしく爽やかな白いシャツ姿で登場した山本は、「プレッシャーは大きいですが、“ぶち破る”という意味の“パッチギ”らしく、それを乗り越えていけたら」と意気込み充分。対するアンソン役の石黒も「初舞台なので不安はあるけれど、稽古中にいっぱい恥をかいて、本番では恥ずかしくないようにしたい」と気を引き締めた。またヒロイン役となる三倉は「朝鮮舞踊を早速始めました! 映画とはまた違った、自分なりのキョンジャを作りたい」と宣言。スタッフとキャスト全員からなる熱い舞台が、12月の本番では期待できそうだ。
舞台「パッチギ!」は12月4日(金)から23日(水・祝)まで、東京・新国立劇場 中劇場にて上演。チケットは現在発売中。
(取材・文:佐藤さくら)
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