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劇団扉座主宰の横内謙介が、森田成一、三木眞一郎ら豪華声優陣と、扉座でも活躍中の女優・小牧祥子をメインに据えて、脚本と演出を担当した話題作『シャーマンビジネスマン「乱童 RAN-DOH」〜Voice in City〜』。さらにAKB渡り廊下走り隊の平嶋夏海が事件の発端となる役を務め、扉座の精鋭が周囲をガッチリと固めた本作の初日が、10月30日、満員の客席を迎えて東京・天王洲 銀河劇場にて開幕した。
≪初日レポート≫
物語はある有名デパートの地下室から始まる。“涙を流す”マネキン、ハナエ(小牧)を処分してほしいと依頼を受けたフリーの修験者、賀茂乱童(森田)。依頼を回してきたのは、友人で居候先の主でもある弓削仁鏡(高橋広樹)だ。名もない人々の心の声を聞いてやるのが仕事、と割の合わない仕事ばかり引き受ける乱童を思ってのことだったが、この一件をきっかけに、乱童は心霊廃棄物処理会社社長の皇春樹(三木)に目を付けられてしまう。春樹の部下・五十嵐ワタル(藤原祐規)が執拗に追うなか、乱童はついにハナエの涙の原因が、過去に謎の死を遂げた女子店員(平嶋夏海)によるものと気付くが……。
1978年生まれの新鋭・上原英司と共に横内自ら書き下ろした新作だけに、キャストはどれもハマり役。およそ行者らしくないチンピラ風の見かけだが、実は弱者の味方である乱童を気負うことなく演じた森田と、売れっ子カウンセラーの器の大きさを飄々と見せた高橋の対照的なコンビが魅力的。どこかミュージカル風の“浮いてる感”でマネキン役を表した小牧、元エスパー少年の悲哀をまっすぐに演じた藤原、霊の想いをひとりの人間の姿として真摯に伝えた平嶋と、それぞれに見せ場もあり。三木演じる投資の天才だが霊能力皆無の春樹が、乱童らの“数字で割り切れない世界”に向き合うシーンは、物語にリアリティを加えて印象的だ。
稽古場では「実力派の声優さんたちだけに、声がいいのは当然。今回は語尾が消えてもいいから、“聞く”ことをテーマに舞台を作りたい」と語っていた横内。クライマックスでは能をモチーフにした表現も見られ、身体能力を最大限に使ったキャスト陣の熱演に次第に引き込まれる。一方でアクションやギャグ、レーザー光線を使った戦闘シーンなど、エンタメ要素も満載。声優界の大ベテラン・銀河万丈が声だけの出演をするなど、この座組みならではのお楽しみも。演劇と、異ジャンルのエンタメとの幸運なコラボレーションに、新たな興奮を感じた舞台となった。
公演はすでに終了しているが、2010年1月3日(日)〜5日(火)まで、東京・青山劇場にて再演が決定。チケットは11月3日(火・祝)に一般発売開始。
取材・文:佐藤さくら
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