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開催中の「第10回東京フィルメックス」で25日、特別招待作品『蘇りの血』が上映され、豊田利晃監督、主演の中村達也、草刈麻有、渋川清彦、マメ山田が舞台あいさつに登壇。上映後には豊田監督がQ&Aを行った。
『蘇りの血』は、人間が世界を支配する以前の時代を背景に、闇の世界をつかさどる大王(渋川)と彼に仕える姫のテルテ(草刈)、そして天才按摩のオグリ(中村)が“生”を求めてさまよう姿を描いた物語。愛と自然治癒力で一度死んだ体を蘇らせ、人生の再起を図るという熊野発祥の伝説“小栗判官”をモチーフにしている。
豊田監督は、中村をオグリ役に抜てきしたことについて「野獣のようなものを心に秘めている人にやってもらいたかった」と語り、中村は「ありのままの自分で演じました」と照れながら撮影を振り返った。また豊田監督が、自身の作品にほぼ出演している渋川を大王役に起用したことについて「今までにない役を彼に演じてほしいと思い、重厚な大王ではなく二代目の軽い感じの大王にした」と語ると、渋川は「現場ではナチュラルハイになりました」と会場の笑いを誘った。
上映後のQ&Aで観客から「原作のどこにひかれたのか?」との質問を受けた豊田監督は、「日本では5分に一度自殺者がいるという。そんな人たちに見てもらいたいと思った。人生はやり直せることを伝えたかった」と回答。「劇中で“生きることは地獄より地獄”というセリフがあるのに、登場人物たちは生きることを希望しているが、監督には“生”に対する希望があるのか?」との質問には、「自分の死生観を言葉で語ることは難しい。ぜひ映画を見て感じてほしい」と4年ぶりの新作に自信を見せていた。
「第10回東京フィルメックス」
29日(日)まで有楽町朝日ホール、東劇、シネカノン有楽町1丁目にて開催中
『蘇りの血』
12月19日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
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