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森山未來らによる『カフカの「変身」』の舞台稽古が、3月6日の初日に先駆け5日、東京・ル テアトル銀座 by PARCOにて行われた。この作品は、カフカの同名の小説をもとに俳優で劇作家・演出家のスティーブン・バーコフが1969年に自ら脚本、演出を手がけ、主演も務めた舞台。その後、映画監督のロマン・ポランスキーやバレエダンサーのミハイル・バリシニコフらも主演を務め、バーコフの出世作となった。今回18年ぶりに日本で上演され、ダンスを得意とする森山未來が高い身体能力を活かし、朝目覚めると虫に変身していたグレゴール・ザムザに挑む。
六つ足の昆虫を彷彿とさせる大きな骨組みの下に、グレゴール(森山)の部屋がある。その部屋の前には、母(久世星佳)、妹・グレタ(穂のか)、父(永島敏行)が鎮座し、時計の音に合わせ、あやつり人形のような動きで朝の準備に取りかかっている。家の金銭面を外交販売員のグレゴールに頼りっきりのこの家族、6時半、7時を過ぎても彼が部屋から出てこないのをいぶかしむ。8時過ぎ、声帯までもが変化し人間の言葉もまともに話せなくなった彼はやっとの思いで部屋から出る。しかし家族が見たグレゴールの姿は奇妙な虫だった……。
主演の森山をはじめ「バーコフの世界を理解するのが大変」と口にする出演者たちの中でも、初舞台とは思えないほど伸びやかに演技しているのは穂のか。「台本も書き込みだらけやもんな?」と森山からツッこまれるほどの熱心な取り組みようで「自分が今やりたいことをやらせてもらってるので本当に楽しい」と、生き生きとした表情で語っていた。そんな彼女の長所を「素直さと若さ」と話す永島はこの作品を「息子が虫になって閉じこもる原因は歪んだ親子関係にあると理解しています。親子に見てほしい“凄まじいファミリードラマ”」とアピール。そして森山は「(虫に変身するという表現はグレゴールが)今まで家族に対してしていた生活やお金の保障を、もう疲れた! 辞めた! と、投げ出したのをカフカがデフォルメしたと僕は思っています」と説明し、「虫の存在をどう感じてもらえるかは(観客の皆さんの)自由です」と締めた。
演出家のバーコフは変身の深い意味合いについてこう話す。「家族はグレゴールが虫になったときは忌み嫌い、やがて不安、罪悪感という否定的感情を経て、憐れみ、共感と感情が変わっていく。そして彼が死んだときに初めてその生き物を受け入れる。それがもうひとつの変身です」。
注目の舞台は3月22日(月)まで。その後3月31日(水)に岡山市民会館、4月2日(金)から4日(日)まで大阪・サンケイホールプリーゼ、4月6日(火)福岡市民会館 大ホール、4月11日(日)富山のオーバード・ホール、4月13日(火)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館劇場と、各地を回る。チケットは新潟公演を除き、いずれも発売中。
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