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貴城けい(たかしろ けい)と樹里咲穂(じゅり さきほ)が主演するブロードウェイ・ミュージカル『SIDE SHOW (サイド・ショウ)』。日本初演となるこの作品が、4月7日、東京芸術劇場 中ホールにて開幕した。実在した結合双生児の数奇な運命をたどる本作は、身体的なハンデからもたらされる差別など内容はややシビアなところも。しかしそんな厳しい現実を忘れさせるほど、前向きに夢を追って生きる登場人物をビビッドに描きだし、その気持ちのほとばしりをほぼ全編歌で綴っているのが見どころだ。ゴスペルからロックのバラードまで、幅広い楽曲群を作り上げたのは2007年の映画版でもおなじみ、ミュージカル『ドリームガールズ』の作曲家ヘンリー・クリーガー。彼のドラマチックなナンバーを貴城、樹里が息もぴったりに歌いあげ、女優としての代表作のひとつを誕生させた。
ブロードウェイ・ミュージカル『SIDE SHOW』のチケット情報
1930年代の米国。舞台には猿ぐつわを模したふちどりがなされており、異形の人間を集めたサイドショウ(=見世物小屋)からスタートする。ボス(大澄賢也)の小屋で歌を披露する結合双生児のヴァイオレット(貴城)とデイジー(樹里)は、プロデューサーのテリー(下村尊則)とミュージシャン志望のバディ(伊礼彼方)の導きで、ショービジネス界の人気者に。やがて、サイドショウ時代から双子に付き添う黒人のジェイク(岡幸二郎)の支えもあって、ヴァイオレットとデイジーはそれぞれ恋愛も経験し、女性としての悦びも知ることとなるが……。
タイトルがついたものだけで30曲、全50数曲にのぼるナンバーはどれも劇的なものばかり。メインキャスト6名はもちろんのこと、16名のアンサンブルも難曲に気持ちを全面にのせながら歌いあげていく。貴城と樹里が演じる双子のふたりは、ステージの上では息もぴったりだが、性格は正反対。どちらかの気分が高揚すれば片方は落ち込むという按配で、時にいがみ合うことも。それでも弱い者同士、互いに助け合って生きる姿には、彼女たちが普通の女性と変わらない感情の持ち主であることを痛感させられる。そして貴城の優しい歌声とハリのある樹里の歌声がハーモニーでは溶けあい、ユニゾンでは声質を似せて歌っているのも印象的だ。
若くて野心家であるバディ役の伊礼は高音を、デイジーへの恋心を封印するテリー役の下村は低音を歌い、キャラクターの差別化を音域で表現しているのも面白い。唯一白人でないジェイク役の岡は自慢の低音を響かせ、役どころの物悲しさを歌いあげている。振付も担当した大澄は冒頭から邪悪な歌いっぷりで、物語がひと筋縄ではいかないことを見せつけた。公演は4月18日(日)まで。チケットは現在発売中。
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