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演 劇
段田安則、浅野和之、高橋克実、鈴木浩介が出演する『叔母との旅』。この舞台稽古が8月20日(金)の開幕に先駆け、前日の19日に東京・青山円形劇場にて行われた。本作は、映画『第三の男』の原作者としても知られる英国の作家・グレアム・グリーンの小説を、劇作家で俳優のジャイルズ・ハヴァガルが4人の男優のみで演じる戯曲に仕立てたもの。日本では1994年に演劇集団 円により初演され話題を呼んだこの作品を、今回はカムカムミニキーナの松村武が演出を手がける。
この物語は破天荒な叔母・オーガスタと実直な甥・ヘンリーによる、人生を見つめ直す旅の記録である。70代後半にも関わらず若い恋人との甘い生活を送るオーガスタと、30年の銀行員生活を終え、悠々自適の生活を送る独身男のヘンリーは、彼の母親の葬儀で50年ぶりの再会を果たす。その再会もつかのま、ヘンリーは叔母に誘われるままに英国・ブライトンをはじめ、オリエント急行に乗ってパリ、スイス、イタリア、イスタンブール、さらにはアルゼンチン、パラグアイへと、摩訶不思議なふたり旅をすることに。その旅の模様が、狂言回しでもあるヘンリーの口から語られていく。
4人の男優が相手の間合い、動き、癖なども把握していないと全く成り立たない難しい舞台である。全員で老若男女20名以上の登場人物を演じる上、主人公のヘンリーを4人の役者が交互に演じていく。また、円形の白い舞台には何もないため、小道具の出し入れなど黒子の役も俳優自身でこなし、場面転換のきっかけに使われる音楽もほとんどなく、すべて語り手であるヘンリーのナレーションを機に舞台が動き出す。役者に課す部分がこれほどまでに多いのに、今、ふたりはどこを旅しているのか、誰がふたりを訪ねてきたのかが瞬時にわかるのは、4人の“間”の素晴らしさと、チャーミングな演技があるから。特に段田、浅野、高橋がそれぞれ演じる女役は、生々しさ、滑稽さ、猥雑さが込められていて思わず笑ってしまう。
はじめは叔母をいかがわしく遠巻きに見ていた常識人のヘンリーが、ともに旅をするにつれ、彼女のモラルに囚われない生き方に巻き込まれていく。何が普通で、何がおかしいのか。決められた枠のなかで生きる人生と自分の欲に忠実な人生、醍醐味があるのはどちらか。まるでロードムービーのようなふたりの旅から、その答えを導き出してほしい。公演は8月20日(金)から9月19日(日)まで。チケットは発売中。またぴあでは、ペア割引・トリオ割引チケットも発売中。
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