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今シーズンより新国立劇場舞踊芸術監督となったデヴィッド・ビントレーのオープニング作品となるバレエ『ペンギン・カフェ』の公開リハーサルが10月9日行なわれ、ビントレーとケープヤマシマウマを踊る古川和則が、作品を完成させる情熱を観客に伝えた。
今作は、トリプル・ビル(『シンフォニー・イン・C』と『火の鳥』と同時上演)の構想を持ち、中でも名作『ペンギン・カフェ』の上演には、大変な期待が集まっている。音楽を目で見る楽しくてお洒落な作品だが、ダンスを繰り広げている動物たちは、絶滅もしくは絶滅危惧種という、環境保護へのメッセージ性を併せ持った舞台だ。まず驚いたのが、ビントレーの優しい笑顔である。見学者は張り詰めたリハーサル風景を想像していたが、アーティストたちは終始リラックスした表情で作品を創り上げていた。ビントレーは身体の向きがシマウマらしく見えるように、手を下ろすタイミングや、細かい足の使い方を自らが演じてみせながら、踊りに命を吹き込んでいく。古川の役柄への完成度は高く、ビントレーは「Great!」と、嬉しそうな表情でリハーサルを終了させた。その後見学者と交流の時間が設けられ、次々とビントレーへ質問が飛び交った。
「最初音楽を耳にしたときはジョークかと思って、そのまま忘れてしまっていたのですが、その後本を読み、ペンギンと音楽が突然結びつきました。人間の行為によって絶滅した種のペンギンと、絶滅の危機に瀕した動物たちの、バレエを作りたいと思ったのです。お説教のように感じてもらいたいわけではなく、不思議な天国のような世界を、大人も子供も楽しめる作品になっています。日本のダンサーたちは、世界でも稀に見る、驚くほどの集中力を持っています。その集中力を一日中保ち続け、あらゆる新しいスタイルを瞬時に自分のものにすることができます。新しい作品の上演については良く質問を頂きますが、バレエとは革命ではなく、ひとつひとつ前進して進化していく芸術なのです。先のことを考えるより、前から存在していた作品のレベルをあげていくことが、重要だと思っています」と、ビントレーは、振付の着想や、日本のダンサーについて、そして、バレエの楽しみ方について熱意を込めて語った。
ビントレーは観客と常に近い距離にいたいという姿勢を持ち、このような貴重な機会を今後も企画したいと望んでいるという。世界で最も個性的な観劇の楽しみ方を知っている日本の観客にとって、何よりも嬉しい言葉に違いない。公演は10月27日(水)から11月3日(水・祝)まで、新国立劇場 オペラパレスで上演される。チケットは現在発売中。
取材・文:高橋恭子
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