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歌舞伎への深い知識を生かしながら、枠にとらわれないユニークな発想で独特の世界を作り上げる花組芝居。俳優は男性のみ、“ネオかぶき”と称し、パワーのある個性豊かな俳優が『女形』も演じる。今回、厳選された役者と小スペースならではの濃密な舞台を、座長・加納幸和が創りたい企画でお届けするための劇団内ユニット“花組ヌーベル”の作品として、岡本綺堂作『番町皿屋敷』を上演することになった。
この作品の制作発表が4月27日に行われ、福岡公演の開催地である『住吉神社能楽殿』に、主宰・演出・俳優の加納幸和、俳優の小林大介が登場した。住吉神社能楽殿は昭和13年に建設されたもので、戦前の能舞台の造作をみることができる、建築史上にも貴重な価値をもつもの。この、戦火をくぐりぬけた能舞台で、花組芝居は過去に本公演を行っている。20年ぶりの福岡公演を、同じ舞台で上演できるとあってふたりは感慨深げ。
「20年前は9月で、ものすごく暑かった、たくさんのお客さんが遠方からも来てくれました。あの時、もうすぐ取り壊しと聞いていたんですけどね。よく残ってたなぁ……。またここでやれるなんて感動です。『番町皿屋敷』は、2009年に、北九州芸術劇場のリーディングセッションでやった際の演出で、この作品の元が出来ました。その時の手ごたえがよかったので今回立体化し、本衣装を着けての上演となります。その時と同じく青山播磨を小林大介が演じます。それから他の役者を差し置いて、お菊を僕が演じます」(加納幸和)
「僕は初めてここに来ましたが、この古い能舞台、この空間で『番町皿屋敷』、間違いないでしょう(笑)。小説を映画にしたり舞台にしているケースは多々ありますが『番町皿屋敷』は、読んだ時よりも、演じているのを見たほうが絶対に面白い。岡本綺堂の戯曲では、お菊は殺されて井戸に落ちるしお皿も数えますが、幽霊は出てこない。モチーフは古典だけど、タッチはモダンな画期的な作品。見たことのない人もぜひ一度見ていただきたい」(小林大介)
全編を彩る音楽は、三味線・杵屋邦寿のアレンジによるもの。福岡公演では杵屋邦寿社中による生演奏も予定されている。かつての芝居小屋のように、誰もが気軽に楽しめる最高の娯楽にと、“かぶきの復権”を目指している花組芝居。「古典を踏襲しつつ、どこまでそこから外れようか、と考えているところです」と加納が語るように、彼らならではの魅力をたっぷり感じることができそうだ。
公演は東京からスタート、6月2日(木)から7日(火)まで座・高円寺1にて。以後、6月11日(土)・12日(日)に福岡・住吉神社能楽殿、6月18日(土)・19日(日)に愛知・テレピアホールで上演される。チケットは現在発売中。
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