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デヴィッド・ビントレーが新制作する新国立劇場バレエ『パゴダの王子』が、8月31日、公演に先駆け同劇場にて制作発表会を行なった。芸術監督のビントレー、主役のさくら姫と王子、また、女王エピーヌに抜擢された豪華なキャスト陣が登壇。ビントレーを始めとした制作者は、作品の見どころを、ダンサーたちはそれぞれ役柄への意気込みを語った。
まずビントレーが「恩師であるニネット・ヴァロワ女史から、この作品を手掛けなさいと言われました」とそもそものきっかけを明かす。「当時はその気持ちにならず、胸のつかえのように引っ掛っていた作品に立ち戻っていくきっかけをくれたのは、ディヴェルティスマン(嬉遊曲)が大好きな日本の観客です。私は、西洋の文化を輸出する為ではなく、日本の歴史や文化を吸収して作品を創造しています。この作品の素晴らしいところは、英国と日本のコラボレーションであることなのです」と作品のポイントを熱弁。また、美術を手がけるレイ・スミスも、「感受性の強い時期に、初めて歌舞伎や文楽、能の舞台を観たのが、日本文化を知るきっかけとなりました。ビントレーから、鎖国の世界、未知の世界への旅、などテーマを提示され、日本の伝統的な衣裳が成功しているのか、実際に舞台を観て確かめてください」、照明の沢田祐二が「照明は振り付けや衣裳が出来あがってから、最後の仕事になります。全員のイメージを共有した、ファンタスティックで綺麗な舞台になると思います」とそれぞれアピールした。
また、皇帝役で特別出演する能楽師・津村禮次郎は「能楽師としては引き受けることに不安がありましたが、日本的なテイストを作品に入れる事が抜擢の理由であり、ビントレーの言葉を聞き、何をすべきなのか明確になってきました」と出演の理由を話した。ダンサーたちも「世界を見渡しても、全幕を上演できるバレエ団は少ないので、たくさんの方に観て頂きたいです」(小野絢子)、「ビントレーの中にある、絵の中に色を塗っている気がします。体当たりで挑みます」(米沢唯)、「バレエと能のコラボが楽しみです。バレエ界の革命になると思います」(長田佳世)、「初演の舞台で踊らせてもらえて光栄です。少しでも王子に近づけるよう頑張ります」(福岡雄大)、「主役に抜擢された事に緊張しています。ビントレー特有の高度な技術や動きが要求されますが、どこまで頑張れるか挑戦します」(菅野英男)とそれぞれ意気込みを語った。
本作は、ビントレーが歌川國芳の浮世絵から発想を得て、日本の御伽噺のようなバレエを完成させた。ビントレーが「物語は喪失から始まり、再生されていきますが、皇帝の魂が今の日本における状況に例えられると思います」と語ったように『パゴダの王子』は、震災から再生に向けて立ち上がった日本への大きなメッセージが込められている。
公演は10月30日(日)から11月6日(日)まで新国立劇場オペラパレスにて上演。チケットは発売中。
取材・文:高橋恭子
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