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昨年は50歳という節目に自身の“生誕50周年”を祝う形で、新作の映画と舞台を5本発表した三谷幸喜。今年は“三谷幸喜の初ものづくし3作品”と銘打ち、初めてのチェーホフ作品の演出、初めてのロングラン『なにわバタフライN.V』、初めての文楽への新作書き下ろし&演出と、舞台作品を3か月にわたり東京・PARCO劇場で上演する。「新しいことをやってみたい」という三谷の意欲が、3つの「初」に結びついた。翻訳劇、ひとり芝居、古典芸能と全く趣向の違う3作品についての思いを三谷に訊いた。
初めてのことばかりに挑戦しようと思ったきっかけは「去年もそうだったんですが、同じところに留まっていてはいけないと思って。僕は喜劇作家ですから、最終的には純然たるコメディに戻るつもりでいるんですけど、今はいろいろなことに挑戦してみたいんですね」と話す。日本でも人気の高いチェーホフの『桜の園』については「以前から興味はあった」そうだ。「『桜の園』は喜劇なんです。チェーホフ本人もそう書いているし。だから喜劇としてきちんと演出したい」と構想を明かす。2004年に初演の、ミヤコ蝶々をモチーフにした戸田恵子のひとり芝居『なにわバタフライ』は今回が3回目の上演で、100回公演を越えるロングラン作品となる。「ひとり芝居の堅苦しさを無くしたいというのが、最初からのテーマです。軽くさらっとやって、すごい!というものにしたい。その場で思いついてしゃべっている、そんなハイレベルまでいきたいですね」。文楽は『其礼成心中』(それなりしんじゅう)という新作を書き下ろす。もともと人形劇が好きで、NHKの『三銃士』(2009年10月から5月まで教育テレビで放送された連続人形活劇)を書いた際、文楽を見るようになったという三谷。「笑える文楽にしようと思っています。それが文楽の方たちの希望でもあるので。心中が流行ったせいで商売が傾いてしまった饅頭屋の夫婦の話です。心中しようとしている恋人たちを、親父が止めに入るって、面白そうだなって」。近松門左衛門が書いた『曾根崎心中』の裏版という設定だ。ただし、自分のことは「外部の人」とあくまで謙虚だ。「ファンとしての視点を大事にしようと思っています。(観客が)文楽で何が見たいかに立ち返りたいですね。それは、歌舞伎、ミュージカル、大河ドラマ、何をやる時にも同じです。そのスタンスは崩さないようにしようと思います」。
“三谷幸喜の初ものづくし3作品”は、三谷版『桜の園』が6月9日(土)から7月8日(日)までPARCO劇場、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホールで上演。『なにわバタフライN.V』が7月5日(木)の大阪公演を皮切りに、7月11日(水)から22日(日)までPARCO劇場で上演後、宮城、北海道、石川、香川と各地を回る。『其礼成心中』は8月11日(土)から22日(水)までPARCO劇場で上演する。3作品とも東京、神奈川公演のWEB先行抽選を4月2日(月)午前11時まで受付中。
なお、三谷のインタビューの全文はチケットぴあサイトに掲載。
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