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松山ケンイチの初舞台『遠い夏のゴッホ』が東京・赤坂ACTシアターで公演中だ。今回の舞台について松山に聞いた。 松山が演じるのは、セミの「ゴッホ」。俳優たちがセミやアリ、カマキリといった小さな生き物を演じる本作では、2匹のセミが恋のために自然の摂理をも超えていく、究極の恋の物語を描きだす。セミの幼虫のゴッホは、同じ年に生まれたセミの少女ベアトリーチェ(美波)と、羽化をしたら必ず恋人同士になろうと約束しあう。しかしゴッホの身体はベアトリーチェよりも1年早く羽化を始めてしまう。セミは羽化したら絶対にその年に死ぬ。羽化したゴッホは、愛するベアトリーチェとの約束を守るため、彼女が羽化する来年の夏まで、季節を越えて生き延びようと決心するが…。
人間ではなく昆虫を演じることについて松山は、昆虫と人間との死生観の違いにおもしろさを感じるという。「登場する虫たちは、自分が死んでも誰かのエサになる、という大きな自然のサイクルを理解して生きていて、人間が持っているような死に対する恐怖心がないんです。命に対する考え方がとても潔い。でも、僕が演じるゴッホだけが人間的な欲望をもって、必死に生き延びようとする。その考え方の対比がすごくおもしろいですよね。恋のために自然の法則すら超越しようと、もがき苦しむところには美しさも感じます」と話す。
脚本・演出を手がけるのは、かつて佐々木蔵之介らとともに劇団「惑星ピスタチオ」を立ち上げた西田シャトナー。西田作品については「舞台がとても立体的に見えるのがおもしろい。さらに、いろいろなことを人間の肉体をつかって表現していて、表現に独特の美しさがあるんですよね。それは映画やドラマにはない、舞台ならではのおもしろさ」と、その魅力を紹介。「僕も西田さんも新しいことに挑戦したいと思っていて、そこにすごく価値がある。今まで観たことがないような舞台に仕上がっていると思う」と作品をアピールした。
公演は2月24日(日)まで。その後、3月7日(木)から10日(日)まで大阪・新歌舞伎座でも上演。チケット発売中。
取材・文:大林計隆
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