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終戦から取り残された樹上の日本兵が見たものは? 藤原竜也主演『木の上の軍隊』が公演中
2013年04月12日 17時49分 [演劇]
舞台『木の上の軍隊』 撮影:阿部高之
舞台『木の上の軍隊』 撮影:阿部高之

藤原竜也主演の『木の上の軍隊』が、東京・シアターコクーンで公演中だ。本作は劇作家・井上ひさしが生前書こうと試み、3年前に上演が予定されていたものの、井上の急逝により幻となった、まさに彼の遺作ともいえる作品。今回、井上の原案をもとに蓬莱竜太が戯曲を書き下ろし、井上が信頼を寄せた栗山民也が演出を務めることで、ついに上演が実現した。井上ひさし版にも主演予定だった藤原にとっては3年越しでの挑戦となる。出演は、藤原のほか、山西惇、片平なぎさ。片平の舞台出演は11年ぶり。

舞台『木の上の軍隊』チケット情報

劇場に入ると『木の上の軍隊』というタイトルの通り、舞台中央にそびえる大きな木に目を奪われる。本作は、終戦を知らずに2年もの間、沖縄県・伊江島のガジュマルの木の上で生活したという日本兵ふたりの実話に基づく物語なのだ。木の上で敵軍を見張りながら、待てども来ない援軍を待ち続ける上官(山西)と新兵(藤原)の様子を、片平が“語る女”として第三者的な立場から語っていく。3人芝居という少人数の上、ほぼ出ずっぱりという構成であり、何よりも3人の演技力を存分に堪能できる点が見どころだろう。木の上では大きな動作が制限されるため、特に会話の演技が際立って感じられる。動けない中でも新兵の無垢な姿を生き生きと演じる藤原と、体面を重んじ恥の多い人生を送ってきた、山西の演じる上官のコントラストが見事。国のためと大義を語る上官と、故郷であるこの島を守るために戦うことを志願した新兵。ふたりだけの同じ極限状態を共有しているものの、お互いが見つめているものはまったくちがっており、ずっと近くにいながらも心の底ではわかり合うことができない人間関係は、決して戦時中の特別なものではなく、現代の生活の中にも通じる普遍的なドラマとして心に訴えかけてくる。

劇場内を見渡してユニークなのは、せり出した舞台のすぐ真横に設けられたステージサイドシートだ。上手と下手にそれぞれ9席ずつと席数は少ないが、舞台の最前面より奥側に設置されており、役者の横顔や後ろ姿など、通常の席では観ることができない角度から舞台を楽しむことができる。俳優との距離が近く、シーンによっては山西の肩越しに、藤原が自分に対してセリフを言ってくれているかのような臨場感を味わえるのも、この席ならではの楽しみ方だろう。このステージサイドシートは現在上演中のシアターコクーンのみの席種であり、俳優陣の演技を間近で楽しみたいなら、またとない機会である。物語の内容と相まって、貴重な演劇体験ができるはずだ。

4月29日(月・祝)まで東京・シアターコクーン、5月3日(金・祝)から5月6日(月・祝)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。その後、愛知、大阪、愛媛、長崎、広島、福岡を巡演する。なお、コクーン公演「ステージサイドシート」は現在発売中。

取材・文:大林計隆

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