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『東京プレイボーイクラブ』「鈴木先生」など、映画にドラマにと出演が続く臼田あさ美。様々な役を演じてきた彼女だが、最新主演作『桜並木の満開の下に』ではこれまでに経験のないヒロイン役に挑んでいる。1作ごとに違った一面をみせてくれる彼女が役に込めた想いを語ってくれた。
今回、彼女が演じたのは夫とともに小さな工場で働く栞(しおり)。結婚したばかりの彼女だが、仕事中に夫が不慮の事故で亡くなる。しかも、その事故を起こした三浦貴大演じる工(たくみ)が同じ工場で働くことに。はじめは忌み嫌いながらも、栞は亡き夫の穴を埋めようと必死に働く工に次第に惹かれていく。「脚本を読み終えたときは、戸惑いました。私自身は、こんな理不尽な運命に見舞われた経験はない。事故とはいえ最愛の人を奪った人間に好意を抱くなんて、正直理解できなかった。どんなに想像しても思いを馳せても栞の気持ちに近づけた気がしなくて。撮影に入るまで、自分が演じ切ることができるのか不安でした」。
ただ、演じる中で、その心境は変化していったという。「撮影が始まり、実際にその場に立つと栞の心境が痛いほど私の体全体に伝わってきた。事故を起こした工は当事者どころか無関係な人間からの誹謗中傷も、たったひとりで受けとめる。一方の栞も周囲の必要以上の気遣いは重荷で、誰にも本心を打ち明けられず、孤独感を深める。形は違えど、二人は今の世界から孤立している。そのことに気づいたとき、最大の懸念だった工への想いも自然と受け入れることができました」。
この役への深い理解に裏打ちされるように、劇中では刻一刻と変化する栞の複雑な心模様を細やかに体現している。その過程では、自作が4作連続ベルリン映画祭に招待され、国際的な評価を受ける舩橋淳監督とも意見を交わした。「途中から、自分が今、栞として感じていることを言葉にしてどんどん監督にぶつけていきました。もしかしたら監督には迷惑だったかもしれません(苦笑)」。栞を演じきった今の心境をこう語る。「よく“役を生きる”といいますけど、今回はそれがこれまでやってきた役以上に濃密だったというか。役者としてこれまで体感したことのない経験をしたことは確かですね。人間にとって命題ともいうべき“赦し”と“救い”という深いテーマをもった作品。多くの方にぜひ観てほしいですね」。
『桜並木の満開の下に』
4月13日(土)よりテアトル新宿、ほかにて全国ロードショー
取材・文・写真:水上賢治
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