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木内一裕氏の同名小説を三池崇史監督が映画化したサスペンス・アクション『藁の楯 わらのたて』。全国民を敵に回して任務を遂行するSPの主人公を演じた大沢たかおと、全国民の標的になる凶悪殺人犯を怪演した藤原竜也に、シリアスな題材だった本作の話を聞いた。
凶悪犯・清丸国秀(藤原)を移送するため、警視庁警備部所属のSP銘苅一基(大沢)たちが、10億円という巨額の懸賞金を狙う全国民1億2,000万人の殺意と戦いながら苦闘する姿を描く衝撃作。5月に開催予定の第66回カンヌ映画祭コンペティション部門に選出されたのも話題だが、そこで目指したスタイルは“リアル”だったと男たちは回想する。「想像するようなSPモノじゃないですね。カッコつけず、拳銃をバンバン撃つわけでもない。あくまでも職務に忠実な等身大の男として、その枠をハミ出さないことを心がけていました」(大沢)。そのアプローチは、猟奇的な殺人犯というトリッキーなキャラクターでも同様だった。「極論ですが、(猟奇殺人犯だからといっても)“何もしないこと”を目指しました。それは三池監督と決めたことですが、憎たらしい男に映るように丁寧な工夫をしました」(藤原)。
藤原は『SABU/さぶ』(02)で三池監督と一度タッグを組み、大沢は今回が三池組初参加。10年前の時代劇以来の再会だった藤原は、「新鮮な気持ちで、初めてのような感覚で参加しました。でも、楽しかったです」としみじみ回想。一方の大沢も「現場にクリエイティブな空気が流れていて、僕たちもわくわくするような雰囲気を作ることが上手い方ですね(笑)」と三池ワールドにどっぷりと浸かったとか。「多くを話す人じゃないですが、ウソがない方。それは映像に出ていますね」(藤原)と完成作に人柄が出ていることを説明した。
その本作、人間の正義を問うようなシリアスなテーマであるが、主演の大沢は自身も受け止めた上で、「あくまでも、エンターテインメントとして観てくれれば」と補足する。「観たことがないような日本映画で、スケール感もスピード感もあります。ここまでドキドキしながら2時間を過ごしたことが最近なかったので、そこに注目してほしいですね」という『藁の楯 わらのたて』。大沢のいうように、日本映画の枠組みを超越した内容に期待を!
『藁の楯 わらのたて』
4月26日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
取材・文・写真:鴇田 崇
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