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市村正親と大竹しのぶによる名作ミュージカルがついにファイナル
2013年05月09日 19時30分 [ミュージカル・ショー]
ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』 スウィーニー・トッド役:市村正親、ミセス・ラヴェット役:大竹しのぶ 写真撮影:渡部孝弘
ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』 スウィーニー・トッド役:市村正親、ミセス・ラヴェット役:大竹しのぶ 写真撮影:渡部孝弘

トニー賞も受賞しているブロードウェイミュージカルの名作『スウィーニー・トッド』。2007年に26年ぶりの日本版として市村正親と大竹しのぶの初タッグで上演された本作は、高い評価を獲得。今回は2011年の再演を経て3度目の上演となるが、これが同コンビのファイナル公演になるとか。斉藤暁、武田真治ら初演からの好配役はそのままに、芳本美代子、高畑充希、柿澤勇人ら新しいキャストも加わった、いわば決定版。そのゲネプロが、5月4日、KAAT 神奈川芸術劇場にて行われた。

ミュージカル『スウィーニー・トッド』チケット情報

19世紀末のロンドン。理髪師のベンジャミン・バーカー(市村)は、妻ルーシー(芳本)をターピン判事(安崎求)に奪われた上、無実の罪を着せられて流刑地に送られていた。15年後、脱獄して漂流中に水夫のアンソニー(柿澤)に助けられたバーカーは、かつての自分の店で大家のミセス・ラヴェット(大竹)と再会。妻は自殺し、娘ジョアンナ(高畑)がターピンの養女になっていると聞いたバーカーは、スウィーニー・トッドと名前を変えて理髪屋を再開、復讐の機会をうかがうことに。一方、トッドが殺害した死体をミンチにしてミートパイを売り出すことを思いついたのは、ロンドン一まずいパイ屋としても知られるミセス・ラヴェット。パイ屋が大繁盛するなか、ジョアンナに一目惚れしたアンソニーは駆け落ちの相談をトッドに持ちかけるが…。

舞台には鉄のモチーフが張り巡らされたセットと、何かを暗示するような巨大な焼却炉が。薄汚れた裏通りを模したその前に現れ「燃やせ復讐の火を」と歌う市村の身体からは、怨嗟の炎が立ち昇るようだ。常に固い表情を崩さないその横顔には、悲劇の結末まで突き進むしかない男の哀しみがにじむ。そんなトッドの協力者であり愛人のミセス・ラヴェットを演じる大竹は、ミュージカルの作法とストレートプレイのリアルさを併せもつ絶妙なサジ加減で舞台を引っ張る。死体のポケットから財布を探り、トッドとの陳腐なロマンスを夢見る彼女の無邪気さは、どん底の生活でもたくましく生きる市井の人々のそれだ。その他、頭の弱い青年ドバイアス役・武田のくるくると変わる繊細な表情、ターピンの腰巾着ビートルを演じた斉藤の小市民的な存在感、トッドに人懐こい笑顔を見せる柿澤の明るさなどが印象に残った。

2013年の英国オリヴィエ賞では、ミュージカル・リバイバル作品賞など3部門で受賞している本作。ブロードウェイの巨匠スティーブン・ソンドハイムの楽曲は、変化に富みながらもオーソドックスなミュージカルの趣き。光と影を多用して舞台上にパッキリとした画を構築した宮本亜門の演出もあいまって、物語はゴシックテイストながらどこか寓話性を帯びる。その面白さと同時に、そこからはみ出るかのようなキャストのエネルギーが心地いい1本である。

公演は5月10日(金)から12日(日)まで大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!、5月16日(木)から6月2日(日)まで東京・青山劇場、6月8日(土)・9日(日)に愛知県芸術劇場 大ホールにて。チケット発売中。

取材・文:佐藤さくら

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