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東野圭吾のタイムスリップ小説をキャラメルボックスが舞台化
2013年05月13日 18時09分 [演劇]
演劇集団キャラメルボックス『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 撮影:伊東和則
演劇集団キャラメルボックス『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 撮影:伊東和則

演劇集団キャラメルボックスが、東野圭吾原作の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を舞台化。5月11日、東京・サンシャイン劇場で初日の幕が開いた。キャラメルボックスが東野作品を手がけるのは、2009年に初演、2012年に再演された『容疑者Xの献身』以来2度目。

演劇集団キャラメルボックス『ナミヤ雑貨店の奇蹟』チケット情報

ある家へ盗みに入るも、逃亡途中で車が故障し、ひとまず廃屋となった雑貨店に隠れることにした敦也、翔子、幸平の3人。そこで古い雑誌を見つけた3人は、かつてそのナミヤ雑貨店の店主が、“ナヤミ”相談をしていたことを知る。その方法は、シャッターの郵便口に悩みごとを書いた手紙を投函すると、店の牛乳箱に返事が入れられているというもの。そしてその晩、郵便口に1通の手紙が届く。ほんの遊び心から、相談相手に返事を書いた3人。するとさらなる質問を綴った手紙が届き、しかもその差出人は、どうやら数10年前の人間らしく……。

オリジナルや原作ものなど、これまでも数々のタイムトラベル作品を舞台化してきたキャラメルボックス。本作は『容疑者〜』でも好評を博した東野の、待望のタイムスリップ小説であり、やはりキャラメルボックスとの相性のよさは抜群であった。いくつかの時代を生きる、さまざまな人たちの思い。そんな一つひとつの点が、ナミヤ雑貨店での悩み相談を通し、少しずつ線となっていく。そしてラストで明かされる驚きの真実。その展開は東野ならではのうまさと言えるが、物語は現在から過去、過去から現在へと行き来し、そこに複雑な人間関係、それぞれの人物が抱えるドラマが絡み合う。演出(脚本も)の成井豊は、これらすべての要素を、見事1本の演劇として昇華してみせた。

敦也、翔子、幸平の3人を演じたのは、劇団の中堅を担う多田直人、渡邊安理、筒井俊作。近年その成長が著しい3人が、しっかりとこの作品の軸となり、物語全体を引っ張る。さらにナミヤ雑貨店の店主・浪矢雄治役の西川浩幸が、ベテランとしての存在感を発揮。また岡田さつきや畑中智行、阿部丈二など劇団メンバーがさまざまな役柄を演じ分け、物語に深みを与えるのと同時に、劇団として厚みも感じさせた。

かつて悩み相談をした人たちは、前へ進むため、ナミヤ雑貨店に手紙を出した。そして現代を生きる敦也、翔子、幸平の3人は、ナミヤ雑貨店で過去に触れ、現在を、そして未来を見つめ直していく。きっと観客にとっても、この雑貨店が起こした不思議で優しい“奇蹟”は、明日を照らし出す光となるであろう。

6月2日(日)まで東京・サンシャイン劇場、6月9日(日)から16日(日)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場にて。

取材・文:野上瑠美子

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